甘酸っぱくてジューシーな味わいは、厳しい暑さでたまった疲労を回復し、さっぱりと水分補給ができるこの時期にぴったりのフルーツです。
しかし、食べたあとに「舌がピリピリする」「口の中が少しヒリヒリする」と感じたことはありませんか?
「酸っぱいから舌が刺激されているのかな」と思われがちですが、実はそれだけではありません。
その正体は、パイナップルに含まれる「ブロメライン」という酵素が関係しています。
舌が分解されている!?
ブロメラインは、タンパク質を分解する酵素(消化酵素)です。
肉料理をやわらかくするためにパイナップルを使うことがありますが、これはブロメラインが肉のタンパク質を分解する働きを利用しています。
私たちの舌や口の粘膜も肉と同じようにタンパク質でできています。
そのため、生のパイナップルを食べると、ブロメラインが舌の表面にあるタンパク質にも一時的に作用し、「ピリピリ」「ヒリヒリ」と感じることがあるのです。
つまり、分解されているとうことになります。
ちなみに、キウイフルーツも同じように感じることがありますが、これはアクチニジンという別のタンパク質分解酵素によるものです。
もちろん、通常食べる量であれば心配する必要はありません。唾液や胃酸の働きによって酵素は徐々に失活し、粘膜もすぐに回復します。

加熱するとピリピリしにくい理由は?
酢豚に入っているパイナップルを食べてもピリピリしない、こう思う方も多いかもしれません。
これはブロメラインが熱に弱い酵素だからです。
加熱によって立体構造が変化すると酵素として働けなくなるため、舌への刺激も少なくなります。
パイナップルは栄養が豊富
パイナップルにはビタミンCだけでなく、マンガンや食物繊維が多く含まれています。
ビタミンCはコラーゲンの生成に関わるほか、抗酸化作用を持つ栄養素として知られています。
また、マンガンは糖質や脂質、タンパク質の代謝を助ける酵素の働きに欠かせないミネラルで、骨の形成にも関わっています。
さらに食物繊維は、すっきりとした毎日の食生活をサポートしてくれる栄養素です。

美味しいパイナップルの見分け方
パイナップルは収穫後に甘みが増すことはない追熟しない果物です。
そのため、店頭に並んでいるものは基本的に食べ頃で、購入したら早めに食べるのがおすすめです。
また、皮が緑色でも中身は熟していることが多いため、色だけで判断する必要はありません。
選ぶ際は、お尻の部分から甘い香りがするものがおいしいパイナップルだそうです。
パイナップルを漢字で書くと?
ところで、パイナップルは漢字で「鳳梨(ほうり)」と書くことをご存じでしょうか?
「鳳」は伝説の鳥・鳳凰、「梨」は果実を意味します。
パイナップルの形や葉の並びが鳳凰の羽のように見えることから、この漢字が当てられたといわれています。
一方、英語のpineappleは、「pine(松)」と「apple」を組み合わせた言葉です。
ゴツゴツした見た目が松ぼっくりに似ていたことから名付けられました。
ここでいう「apple」は、昔の英語の意味である「果実」全般をさす言葉からきたそうです。
「舌がピリピリする」という身近な現象にも、ブロメラインという酵素の働きというきちんとした理由がありました。
スーパーでパイナップルを見かけたら、ピリピリの正体を思い出しながら、いつもと少し違った味わい方をしてはいかがでしょうか?
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

