熱中症対策に塩分は必要ない!?

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連日、熱中症のニュースが報道されています。


「熱中症対策には、こまめな水分補給と塩分補給を」という言葉を見たり聞いたりする機会も多いかと思います。


でも、これは多くの人には当てはまらないことをご存じでしたか?


今回は、熱中症対策と塩分の関係について、一般的なイメージとは少し違う視点からご紹介します。


日本人は、すでに塩分過剰



そもそも、日本人は普段の食事からどのくらい塩分を摂っているのでしょうか?


日本高血圧学会が示す目標量は、食塩相当量で男性7.5g未満、女性6.5g未満です。


ところが、実際の1日あたりの平均摂取量は約10g(男性10.5g、女性8.9g)と、目標を大きく上回っています。


つまり、普段から3食きちんと食べている人であれば、汗をかくたびに塩分を追加する必要はないということになります。


「汗をかく=塩分不足」とはならない



では、汗をかくと塩分はどのくらい失われるのでしょうか?


もちろん、汗にはナトリウムなどの電解質が含まれていますが、汗をかく量は活動量や気温によって大きく変わります。


日常生活での軽い活動と、炎天下でのスポーツでは、発汗量がまったく異なります。


室内で快適な温度で過ごす場合は1日あたり約500〜700mLの発汗といわれていますが、激しい運動では1時間に1〜2L以上の汗をかくこともあります。


暑い日にスポーツをした際の各世代の発汗量のデータから排出塩分量を計算すると、水分補給をしていても約2~11gの塩分が体外へ排泄されてしまいます。




暑い日の水分補給量と発汗量
対象 種目 水分補給
飲料
気温
(℃)
練習
時間(h)
総発汗
量(kg)
水分
補給量(kg)
水分
補給率%
排出
塩分量(g)
子ども 野球 スポーツ飲料 31.7 3.3 1.8 1.7 93 5.4
野球 スポーツ飲料 31.7 3.3 1.5 1.7 118 4.4
バスケ スポーツ飲料 27.7 4.0 1.7 1.7 98 5.0
若年成人 ソフトボール スポーツ飲料 31.0 4.5 2.6 1.8 70 7.9
ソフトボール お茶 31.0 4.5 2.6 1.6 62 7.8
野球 スポーツ飲料 30.4 5.0 3.6 2.8 78 10.8
高齢者 ゲートボール スポーツ飲料 30.0 2.8 0.7 0.4 56 2.0
ゲートボール スポーツ飲料 31.0 2.0 0.8 0.3 34 2.4

体力科学 51 (2), 235-243, 2002 改変





このように大量の汗をかいたときは、水分だけでなく塩分も失われるため、一時的に塩分を補う必要があります。


一方、1日を快適な室内で過ごした場合、排泄される塩分量はおよそ1.5〜2.1gとされています。これは、塩分の平均摂取量から差し引いても、一日の目標量を超えることはない値となります。


つまり、塩分が必要な基準は、「どれくらいの汗をかいたか」が重要になりそうです。


塩タブレット=塩分補給にはならない?



熱中症対策として、水分補給に加えて塩タブレットや塩飴を持ち歩いている方も多いかもしれません。


ここで一度、商品の栄養成分表示を確認してみてください。


商品名に「塩」とついていても、一粒あたりの塩分量は平均0.11gほどしかなく、実際には糖分が90%以上、平均3.2g程度使われています。


これは、角砂糖1個分(約3.0〜4.0g)に相当する量です。


つまり、「塩タブレットを食べた=十分な塩分を補給できた」とは限らず、むしろ必要以上に糖分を摂ってしまう可能性があります。




主要製品の塩分と糖分量
商品名 ブランド 1粒重量
(g)
食塩相当量
(g)
糖分*
(g)
糖分含有率
塩分チャージタブレッツ
(塩レモン味)
カバヤ食品 3.0 0.121 2.74 91.3%
塩分チャージタブレッツ
(スポーツドリンク味)
カバヤ食品 3.0 0.119 2.75 91.7%
inタブレット 塩分プラス
(レモン味)
森永製菓 3.0 0.1 2.60 86.7%
塩分レスキュータブレット
(スポーツドリンク味)
UHA味覚糖 2.8 0.125 2.55 91.1%
ミネラル塩飴 ブルボン 4.6 0.1 4.30 93.5%
塩飴
(ほんのり梅味)
榮太樓總本鋪 4.5 0.1 4.20 93.3%
*糖分は、成分表示の炭水化物と同値として扱っています






ちなみに、スポーツドリンク500mLの糖分は約30g(角砂糖 約7.5個分)です。これは世界保健機関(WHO)が推奨する「1日25g未満」の目安を大きく超える量になります。


正しい熱中症対策とは?



では、熱中症を防ぐために何をすればよいのでしょうか?


日本高血圧学会が推奨する対策には、次の通りです。


1. 高温環境を避ける

2. 「2つの熱中症」を知り、正しく予防する

 ●日常生活で起こる熱中症(非労作性熱中症)
 3食きちんと食べていれば、特別な塩分補給(塩飴など)は不要。時間を決めてこまめに水分(水や麦茶など)を補給する。

 ●激しい運動や仕事で起こる熱中症(労作性熱中症)
 大量の汗をかいたとき、またはそうなることが分かっている場合は、水分と同時に塩分も補給する。

3. 「朝食」をしっかりと、3食バランスよく食べる

4. お酒はほどほどに、睡眠はたっぷりとる

5. 夏は「血圧」だけでなく「体重」も測る

6. 体調が悪いときは、早めに受診する


そして、意外と見落としがちなのが「塩分を増やしすぎない」ことです。


熱中症予防のために日常的に塩分を増やす必要はなく、あくまでも、たくさん汗をかいて失った分だけを一時的に補うことが基本になります。


参考)
厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」
日本高血圧学会 熱中症を防ぐ6か条 2026.6.10








熱中症対策というと「水分+塩分」と覚えてしまいがちですが、一般的な生活の中では塩分を意識的に増やす必要はないようです。


熱中症で亡くなった方の9割は屋内、そのうち6割が65歳以上、8割がエアコン関連によるものです。


特に高齢者は室内環境温度+水分補給を意識してください。





  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

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