熱中症対策に必要なのは、水分補給であることはご存じの方も多いと思います。
しかし、その他にも水分補給に関する新しい知見が昨年8月に報告されています。
今回は、日々のストレスに対処するために水分補給が必要である可能性についてご紹介します。
水分摂取量が違う2つのグループを比較
この研究を行ったグループは、健康な18~35歳の男女32人を対象に水分摂取習慣を調査し、普段の水分摂取量が少ない人と多い人を比較しています。
1日の水分摂取量は以下のようにグループ分けされ、水分にはジュースや牛乳、アルコールなどすべての水分供給源が含まれています。
●低水分摂取グループ
男性:1.6L未満/女性:1.5L未満
●高水分摂取グループ
男性:2.9L以上/女性:2.5L以上
年齢や性別、不安の感じやすさなど、ストレスへの反応に影響する要因を考慮した上で、両グループに知らない人の前での模擬面接や暗算を行う心理的なストレスがかかる課題を実施しました。
そして、ストレスの判定指標として、課題の前後に心拍数や不安感のテスト、唾液中のコルチゾール濃度などを測定しています。
コルチゾールは、ストレスを受けたときに副腎から分泌されるホルモンになります。

同じように緊張していても違いが
両グループのストレスを受けたときに感じた不安の強さや心拍数の上昇はほぼ同じでした。
つまり、「本人がどれだけ緊張したと感じたか」には、大きな違いがなかったということになります。
しかし、ストレスを受けた際のコルチゾールの反応には、はっきりとした差が認められました。
●水分摂取量が少ないグループ:平均6.2nmol/L増加
●水分摂取量が多いグループ:平均4.0nmol/L増加
→低水分摂取グループの変化量は、約55%も増加
このように、主観的な不安や心拍数の反応には大きな違いがなかった一方で、コルチゾールの反応には差がみられました。
つまり、体が水分不足の状態にあると、ストレスに対処するのが難しくなる可能性を示しています。
なぜ水分状態が関係するの?
今回の研究では、水分摂取量が少ないグループと多いグループで、喉の渇きに大きな違いはみられませんでした。
しかし、水分摂取量が少ないグループは尿がより濃く、体が水分を保とうとしている状態が確認されています。
体が水分不足を感知すると、バソプレシンというホルモンが働きます。
バソプレシンは、腎臓に働きかけて水分を体内に保とうとするだけではなく、ストレスへの反応にも関わり、コルチゾールの分泌につながる仕組みも影響しています。
つまり、水分が不足すると、体が水分を守ろうとする反応が、ストレス時のコルチゾール分泌にも関わっていることが考えられます。

水分補給の新しい視点
もちろん、この研究だけで「水をたくさん飲めばストレスが減る」とはいえません。
今回の研究は、若い参加者を対象に普段の水分摂取量が異なる人を比較したものであり、水分補給が直接コルチゾールの反応を抑えることを証明したものではありません。
それでも、水分補給をこれまでとは少し違った視点で見直すきっかけになる研究といえそうです。
参考)
J Appl Physiol (1985). 2025 Sep 1;139(3):698-708.
ちなみに、コルチゾールと聞いて思い出していただきたいのがビタミンCです。
ビタミンCは、コルチゾールを分泌する副腎に多く存在し、ストレスへの体の反応にも関係しています。
毎日のビタミンCと水分補給をあらためて意識していただければと思います。
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。


