「ヒトは食べ物でできている」とよく言われますが、影響を受けるのは体だけではありません。
実は、脳や心の健康にも食事が深く関わっている可能性が示されています。
今回は、毎日の食事に含まれる「ミネラルと心の状態との関係」について報告した研究をご紹介します。
この報告は2026年1月号 Journal of Affective Disorders誌に記載されています。
そもそもミネラルとは?
ミネラルとは、体の機能を維持するために欠かせない“微量栄養素”のこと。
カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛などが代表的で、体内では作れないため、食事から摂取する必要があります。
ミネラルは、骨や血液の材料になるだけでなく、神経や脳の働きを助ける重要な役割を持っているため、「ミネラルと心の健康」は長年注目されてきたテーマでもあります。

20万人を13年間追跡した大規模研
今回の研究は、これまでの小規模研究とは異なり、対象人数・追跡期間ともに非常に大きい点が特徴です。
中国・西安交通大学の研究チームは、英国の大規模データベース「UKバイオバンク」をもとに、約20万人を13年間追跡。
カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛など12種類のミネラル摂取量とうつ病や統合失調症など6種類のメンタルヘルス疾患の診断リスクとの関連を解析しています。
解析の結果、以下のミネラルを多く摂っている人ほどその診断リスクが低いことが示されました。
●鉄・マグネシウム、セレンの摂取でうつ病リスク低下
→鉄の摂取量が最も多い人はうつ病診断リスクが約12%低下
鉄は、セロトニンなどの神経伝達物質の材料になり、神経の調整に関わっています。
→マグネシウム・セレンを多く摂っている人もリスクが低下
この結果は、うつ病や認知機能低下と関連するとのこれまでの研究とも一致しています。
●マンガンと自殺リスク、亜鉛とPTSDの関連
→マンガンを多く摂る人は自殺リスクが低い
→亜鉛摂取量が多い人はPTSD(心的外傷後ストレス障害)のリスクが低い傾向
亜鉛は、脳内でシナプスの活動を調節し、神経細胞の成長やストレス応答にも影響を与えています。
●カルシウムの摂りすぎには注意!
一方で意外な結果として、
→カルシウム摂取量が多い人はうつ病診断リスクが約10%上昇
→不安症と診断されるリスクが約15%上昇
といった関連性が示されています。
●ミネラルの影響は性別・年齢で違う
この研究では、次のような傾向も確認されています。
→女性は鉄・マグネシウム・セレンをたくさん摂っていると“心の保護効果”が強い
→55歳以下の方が、その影響が顕著にあらわれる
つまりミネラルの作用は、性別や年齢、体質によって変化する可能性を示唆しています。
心の健康のために今日からできること
この研究はあくまで「関連」を示したもので、原因を断定するものではありませんが、食事が心の健康に影響する可能性は十分示されています。
心の健康を維持するためにも、以下の食品を意識してみましょう。
●鉄:レバー、赤身肉、赤身魚、大豆製品、ホウレン草
●マグネシウム:ナッツ類、海藻類、玄米、大豆製品
●亜鉛:牡蠣、チーズ、牛肉、大豆製品
●セレン:魚介類、肉類、パスタ、大豆製品

参考)
J Affect Disord. 2026 Jan 1:392:120271.
ミネラルは、身体だけでなく心の健康にも深く関係している栄養素です。
「なんとなく気分が落ちる」「疲れやすい」・・・
そんなときは、毎日の食事からミネラルを見直してみてはいかがでしょうか?
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

