健康のために「塩分を減らす」「揚げ物を控える」といった“制限”を意識している方は多いかもしれません。
もちろん、摂りすぎは体への負担につながる可能性があります。
ただ最新の研究では、それだけでは不十分かもしれない、という見方も出てきています。
これからは、「何を減らすか」だけでなく、「何を足すか」という視点も大切になりそうです。
今回は、2026年3月30日版Nature Medicine誌に掲載された、虚血性心疾患と食事の関係についてご紹介します。
なぜ今、意識しておきたいのか?
実は、世界で最も多い死因は心疾患であり、長年にわたり第1位となっています。全体の約16%を占め、日本でもがんに次ぐ第2位です。
将来の健康を考えたとき、特別なことをするというよりも、日々の食事をどう整えるかが重要になります。
研究グループは、世界204か国の食事データ(1990~2023年)をもとに、食事と狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患との関係を解析しました。
その結果、2023年に食事を要因とする虚血性心疾患による死亡者数は約406万人にのぼると推計しています。
ここで注目したいのが、心疾患リスクに関わる食事内容です。
「摂りすぎ」ではなく「足りなさ」が問題
さらに、研究グループは心疾患リスクを高める食事内容を13項目に分類し個別に評価しています。

その結果、心疾患による死亡に大きく寄与していたのが、
1位 ナッツ・種子類の不足
2位 全粒穀物類の不足
3位 果物類の不足
4位 塩分の過剰
5位 豆類の不足
このように、上位の多くを「不足」が占めており、過剰は塩分のみという結果でした。
つまり、心臓への影響として大きかったのは、「摂りすぎ」よりも「足りていないこと」である可能性が示されています。
日本の食生活で見落としやすいこと
日本では「減塩」が広く浸透し、健康意識の高い方ほど実践している傾向があります。
一方で、現代の食生活は外食や加工食品の利用が増え、野菜や果物などの摂取量が十分とはいえないケースも少なくありません。
「摂りすぎ」に意識が向くあまり、「必要なものを満たすこと」が後回しになっている可能性もあります。
体は、さまざまな栄養素がバランスよく働くことでコンディションを保っています。
食物繊維は腸内環境に関わり、穀物やナッツにはビタミンやミネラルが含まれています。これらの栄養素が不足すると、体内のバランスが崩れやすくなります。
つまり、「悪いものを減らす」だけではなく、「必要なものが揃っているか」が重要になります。

今日からできるシンプルな一歩
体は、栄養素がバランスよく揃うことで整っていきます。だからこそ、「減らす」だけでなく、「ちゃんと足りているか」を見直すことが大切になります。
減塩を意識することも大切ですが、「我慢する」よりも「少し足してみる」という選択も意識するとよいかもしれません。
例えば、
●おやつやヨーグルトにナッツをひとつかみ
●ご飯を炊くときに玄米をプラス
●間食に手軽にとれるリンゴやバナナ食べる
●納豆や豆腐など豆類のおかずを追加
このような小さな積み重ねが、将来の心臓の健康を守る土台になります。
参考)
Nat Med. 2026 Mar 30. doi: 10.1038/s41591-026-04250-8.
世界中で、食事に関連する要因によって心疾患で亡くなる方が約406万人にのぼるというのは、改めて考えさせられる数字です。
今回の研究は虚血性心疾患を対象としたものですが、日々の食事が健康に与える影響の大きさを見直すきっかけになりそうです。
これからは、「減らす」だけでなく、「満たす」という視点も大切にしていきたいですね。
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

