「体重を減らすためには運動すれば良い」とよくいわれます。
しかし、「頑張って運動しているのに体重が思ったほど減らない」と感じた経験はないでしょうか。
この疑問を考えるヒントを示した報告をご紹介します。
研究では、エネルギー消費は、運動量が増えても総エネルギー消費が大きく増えすぎないように調整される可能性が示されています。
この報告は、2026年2月23日付のCurrent Biology誌に記載されています。
従来の考え方「加算モデル」
これまで一般的に考えられてきたのは、運動量が増えれば消費エネルギーもそのまま増えるという仕組みです。
基礎代謝 + 日常活動 + 運動 = 総エネルギー消費
この加算モデルでは、例えば、日常生活で2000kcalを消費し、300kcalの運動をすれば、1日の総消費カロリーは2300kcalとなります。この運動による追加の消費が体重減少につながると考えられてきました。
つまり、運動による追加の消費エネルギーがそのまま体重減少につながると考えられてきました。
しかし現実には、運動量を増やしても体重の変化が小さいケースも多く、この考え方だけでは説明できない可能性があります。
新しい視点「抑制モデル」
今回の研究では、人間や動物のエネルギー消費に関する複数の研究データが統合され、身体活動量と総エネルギー消費量の関係が解析されています。
その結果、運動で消費されたカロリーは1日の総消費カロリーに100%上乗せされるわけではなく、平均すると約72%程度にとどまることが示されました。
残りの28%は体の他の場所で消費されるはずだったカロリーと相殺されている可能性があることが分かりました。
例えば、日常生活で2000kcalを消費し、その後に300kcalの運動をすると、1日の総消費カロリーには300kcalの72%、つまり216kcalしか上乗せされず、合計2216kcalを消費した計算となります。
但し、研究グループはこの28%という数字は平均値であり、個人差が大きいことにも言及しています。

体重は「運動だけ」で決まらない
今回の研究が示しているのは、体重の変化が運動だけで決まるわけではないということです。
体のエネルギーバランスには、運動、食事、睡眠、日常の活動量、生活習慣といったいろいろな要素が関わっています。
この研究では、運動や食事制限によってエネルギー消費が増えたり摂取量が減ったりすると、体が基礎代謝や睡眠中の代謝をわずかに抑えることで、全体のエネルギーバランスを調整する可能性が示されています。
運動を続ける意味
この研究は、「運動しても意味がない」ことを示しているわけではありません。
ポイントは、運動だけでは体重が思ったほど減らない場合があるという点です。
食事はエネルギー摂取量そのものを直接減らせますが、運動の場合は体がバランスを保とうとして、消費エネルギーの一部が相殺されることがあります。
そのため、多くの減量プログラムでは食事の見直しと運動を組み合わせる方法がとられています。
体重管理を考えるときは、運動だけに頼るのではなく、食事・睡眠・日常の生活習慣を含めて考えることが大切といえると思います。

参考)
Curr Biol. 2026 Feb 23;36(4):1013-1025.e4.
diabetes.co.uk. Author Conor Seery.Published on 12 February 2026
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

