本物のスーパーフードはブロッコリー!?

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世の中にはブロッコリーをはじめトマトやアボカドなどいろいろなスーパーフードがあります。


特にブロッコリーは筋肉や減量、ダイエットによいといわれ、鶏むね肉と並んで人気のある食材です。


今回は、ペンシルバニア州立大学の研究グループがブロッコリーの健康効果を化学的に明らかにしていたのでご紹介します。



スーパーフードとは?



スーパーフードは、1980年代のアメリカやカナダで、食事療法を研究する医師や専門家が有効成分を突出して多く含む食品を「スーパーフード」という呼ぶようになったのが始まりといわれています。

スーパーフードとは、はっきりと特定の食品を定義したものではなく「一般の食品よりビタミンやミネラル、アミノ酸といった必須栄養素や、クロロフィルなど、その他の栄養成分を多く含む、おもに植物由来の食品」という大前提のもと、提唱者によって異なる食品があげられています。


そのため、専門家、栄養士などによって専門・学術用語として一般的に使用されることはありません。


EUでは消費者に誤解を与える可能性を考慮してスーパーフードという言葉を商品に記載することを規制する国も出てきているそうです。


ちなみに、日本スーパーフード協会ではジャパニーズスーパーフードとして以下のような食品をスーパーフードとして分類しています。











実際、ブロッコリーはビタミンBやビタミンC、ビタミンK、β-カロテン、鉄分、食物繊維などを豊富に含んでいる栄養価の高い緑黄色野菜です。


では、ブロッコリーが本物のスーパーフードといえるほど高い健康効果がある可能性とはどんものだったのでしょう?





ブロッコリーに含まれる分子が小腸の働きを向上し正常化



小腸の壁は無数のヒダ構造をとり、その表面は500万個もの絨毛に覆われています。


この構造によって水分や栄養素を体内に吸収させるだけではなく、細菌やウィルスなどの侵入を防いでいます。


研究グループは、ブロッコリーに含まれる分子が、小腸の細胞機能を高めることを発見しました。


小腸の上皮細胞には芳香族炭化水素受容体(AHR:Aryl Hydrocarbon Receptor)と呼ばれるタンパク質が存在しています。


このAHRが活性化すると細胞核の中へ移行し、いろいろな遺伝子発現を誘導します。


これにより、栄養素を吸収する細胞や、腸壁の保護に役立つ粘液を分泌する細胞、消化酵素を含むリソソームを分泌する細胞などが調整され、小腸の機能が高まります。


そして、ブロッコリーに含まれる分子が「AHRリガンド」と呼ばれる、AHRと結合してAHRを活性化させる化学物質になります。


そこで、研究グループはこの効果を実証するため、マウスを用いてブロッコリーを15%含む食事(人間なら1日約300g)を与えたグループ、ブロッコリーを含まない通常の食事を与えたグループで比較検討を行いました。










その結果、ブロッコリーを与えなかったグループはAHRの活性が不足していました。


そのため、小腸での食物通過時間が短縮したり、病原体を排除するパネート細胞や胚細胞数の減少、また、保護粘液やリソソーム産生も減少していたとのこと。


一方、ブロッコリーを与えたグループではAHRが活性化され、小腸の機能向上や正常化が認められ、病気の発症が抑制されていました。


研究グループは、ブロッコリーに含まれるAHRリガンドは、小腸の回復力を向上させるために必要な天然素材として利用できるのではないかと結論づけています。




参考)
Lab Invest. 2023 Feb;103(2):100012.





この報告が人間にも同様の効果を与えると仮定すれば小腸の機能の正常化や向上、さらに風邪などの感染症予防、免疫機能の改善が期待できるかもしれません。


ブロッコリーは濃い緑で、つぼみが小さく、密集して、ドーム型のズッシリ重量感のあるものが新鮮でおススメです。


また、AHRリガンドはブロッコリーだけではなく、キャベツやカリフラワー、白菜などアブラナ科の野菜に含まれています。

  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。
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