1日に2Lの水分補給、その根拠は?

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季節外れの暑さが続いています。この先も高温傾向が続く見込みだそうです。


熱中症は屋外で活動していると生じるイメージがありますが、屋外と屋内でおおよそ半々くらいで起きているそうです。


そのため、屋外、屋内にかかわらず水分補給はしっかりすることが大切となります。


よく「1日に2リットルの水を飲むと良い」と聞きますが、その根拠が最新の知見で明らかとなったのでご紹介します。



1日に体から失われる水は3~4L



ヒトの身体がどれくらい水を保有しているのかは過去の研究によって明らかになっていましたが、ヒトの身体にどれくらい水が出入りしているかはこれまで正確に把握することできていませんでした。


しかし、2022年11月に国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所などの研究グループが水分中にわずかに含まれる質量が大きい水の動きを解析する手法で、欧米やアジアなど23か国のおよそ5600人について、体内での水の出入りの量を割り出しています。


その結果、男性では20~35歳で最も高い値を示し平均4.2ℓ/日、その後、年齢が上がるにつれて低くなっていき、90歳代では平均2.5ℓ/日になっていることを明らかにしています。


また、女性では30歳~60歳で高い値を示し平均3.3ℓ/日、その後は男性同様に年齢が上がるにつれて低くなっていき、90歳代では平均2.5ℓ/日となっています。 











ヒトの代謝回転率(ヒトの身体を出入りする1日当たりの水分量の割合)でみると、1日に体水分量の5%しか水の代謝回転が起こらない人がいる一方で、20%もの水の代謝回転が生じる人もいたとのことです。


この他に除脂肪体重(体脂肪を除いた筋肉・骨・内臓や血液など水分の総重量)、総エネルギー消費量、身体活動レベルが水の代謝回転と正の相関を示し、体脂肪率は負の相関関係を示していたとのこと。


また、一般的に夏場の方が水分を必要と思われている通り、春に比べると暑い夏は1日に必要な水分量は0.7リットル程度増えていました。









3~4Lの水を飲まなければというわけではない



20歳代男性で1日に平均4.2リットルの水が失われるとしても、1日4.2リットルの水を飲む必要はありません。


つまり、体の中の水分=摂取する水の量となりません。


私たちの体を維持するために必要な代謝の過程で作られる水は0.4リットル、呼吸などからも水分が少し体の中に入ります。


食事によっても水分を摂っていて、一般的な食事3食で1.8リットル程度は食事から摂取されています。


最終的に液体として必要な水の量は20歳代男性で1日あたり1.8リットル、20歳代女性で1日約1.4リットルという計算になります。


また、運動量や体格などによっても異なるので、この量は目安になります。


今回、研究グループは世界中の国や地域で利用でき、その日の平均気温・湿度が分かれば、その人の体から1日に失われるであろう水分量を予測できる式を報告しています。










1日に2リットルは水ではなく水分?



今回の研究からおおよその1日の水の摂取量は20歳代男性で1.8リットル、女性で1.4リットルとわかりました。


では、それ以前の根拠は何だったのでしょうか?


厚労省は成人男性の1日の必要水分量を2.5リットルとしていますが、飲む水の量については言及していません。


その理由として、日本人における信頼性の高いデータがなく目安を示すことが難しいことをあげています。


海外では水の摂取量の目安を示している国もあるようです。例えば、ドイツの場合18歳以上は1日あたり、男性が2.91リットル、女性が2.26リットルとなっています。


日本人30~76歳、男女242人を対象に水の摂取量を調べたところ、平均摂取量は男性2,423 g/日、女性2,037 g/日、男女合計で2,230 g/日であり、30~49歳で2,121 g/日、50~76歳で2,324 g/日であったとの報告があります。


また、日本人を対象に行ったインターネットによる質問調査では、水道水の摂取量は1人当たり平均1.28 L/日、潜在的な水道水摂取量は1人当たり平均1.65 L/日、2.0 L/日が88パーセンタイルに当たり、ほぼ全員をカバーする摂取量は2.5 L/日よりも多いだろうと推定しています。


これらの数字を見る限り、1日に必要な水の量2リットルはこのあたりから来ているのかもしれません。


また、1日に必要な水分量も2.5リットルや2リットルなどバラツキがみられます。


これに加えて、水分量=飲む水の量と誤解・混同されて使用したり、情報の受け手側も同じように考えてしまったので定着してしまったのかもしれません。




参考)

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 プレスリリース. 2022年11月18日
Science. 2022 Nov 25;378(6622):909-915.
厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」 策定検討会報告書. 平成26年3月
Eur J Clin Nutr 2015; 69: 907─13.
J Water Health 2018; 16: 562─73.





今の季節は体がまだ暑さに慣れていない時期なので、こまめに水分補給を行うなど熱中症対策をとるようにしましょう。


暑さもストレスの要因となり、ストレスを減らすためにビタミンCが必要以上に消費されています。


水分補給をするときは、水にビタミンCを溶かしたものを摂るのも良いでしょう。



  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。
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