みなさんは、錠剤(以下 薬)を飲むとき、どのうように飲んでいますか?
一般的には座って飲んだり、立って飲んだりするのかもしれません。
でも、激しい頭痛や生理痛、発熱など、すぐにでも薬を効かせたいと思うときはありませんか?
そんな時は体を右に傾けて飲むのがいいかもしれません。
今回は、薬を飲む姿勢と薬の吸収され方について検証したジョンズ・ホプキンス大学(米国)の研究グループが行った報告をご紹介します。
薬は右に傾いた姿勢で飲むのが良い
薬を飲んでから効果が現れるにはある程度の時間が必要になり、ほとんどの薬は飲みこんだ後に胃から腸に排出されてから効果を発揮します。
薬は胃の中に入った後、胃の一番奥の幽門とういう弁を通過し、腸に到達、そして血流により吸収されるといった長い道のりを経なければなりません。
このことから、幽門に薬をより早く到達させ、腸で吸収させるために、左右非対称の胃と重力の関係が一番良い関係となる姿勢を取る必要があります。
そこで、研究グループは「胃のコンピューターモデル」を使って、薬を飲むときの4つの姿勢と消化吸収の速度がどのくらい変化するのかを検証しました。
検証された姿勢は以下の4つ。
- 直立:まっすぐに立った状態、もしくは正座
- 右傾:右に寄りかかった状態、もしくは体の右側を下にして寝た状態
- 左傾:左に寄りかかった状態、もしくは体の左側を下にして寝た状態
- 後傾:後ろに傾いた状態、もしくは仰向けになって寝た状態
その結果、右に傾いた姿勢で薬を飲むと直立姿勢で飲むよりも「薬が2.3倍速く溶ける」ことが明らかになりました。
また、左に傾いた姿勢だと、直立姿勢に比べて「薬の吸収に最大5倍も時間がかかる」ことも判明しました。
上記の図を見ると、右傾姿勢の時に胃が重力と同じ方向(垂直)になり薬が胃の奥の方に届きやすくなっているのがわかります。
薬の正しい用法や用量を守りましょう
研究グループは「座って過ごすことの多い高齢者や寝たきりの人にとって薬を飲むときに左右のどちらを下にするかは大きな影響をもたらす可能性がある」と伝えています。
今回の検証はコンピューターシミュレーションであること、体内の状況などによる影響が考慮されていないため差が生じる可能性があることに注意しなければなりません。
もし、少しでも早く痛みを和らげたいと感じて薬を飲む場合は、体を右に傾けながら飲んで、その状態でしばらくじっとしているのが良いのかもしれません。
もちろん、薬には正しい用法や用量があるのでこれを守って、実際に試してみましょう。
薬と違いサプリメントは即効性を求めるものではありませんので、普段の飲み方でじっくり継続的にお付き合いしていただけたらと思います。
参考)
Lee JH, et al. Phys Fluids. 2022;34:081904.
The American Association for the Advancement of Science (AAAS). NEWS RELEASE 9-AUG-2022
The American Association for the Advancement of Science (AAAS). NEWS RELEASE 15-AUG-2022
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。