ビタミンCで尿酸値は下がる!?

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春は健康診断の季節でもあります。


みなさんは健康診断の項目で目にする「尿酸値」、どんなイメージを持っていますか?


ほとんどの方が痛風やプリン体などとともに悪いイメージを持っているかと思います。


でも尿酸値が高いと何が悪いのか?説明できる方は少ないかもしれません。


今回は尿酸や尿酸値、ビタミンCの関係などについてご紹介します。



そもそも尿酸とは?




尿酸とは肝臓で生成される代謝物の一つ。


尿酸は食事と体内の古い細胞由来のプリン体の2つが原料となって生成され、プリン体が分解されてできた燃えカスのようなものです。


プリン体もあまりよいイメージはありませんが、実はあらゆる生物の細胞の中に含まれている物質です。


細胞内のDNAやRNAなど核酸の主成分でもあり、生命を維持するためには必要不可欠な物質の一つでもあります。


尿酸自体には活性酸素の除去作用が認められ、様々な疾病の原因でもある酸化ストレスから体も守ってくれる作用があることが明らかになっています。

しかし、最近の研究ではプリン体から尿酸に分解する際に活性酸素を産生してしまうこともわかってきました。


尿酸は血液中では活性酸素を除去してくれますが、血管壁に取り込まれてしまうと活性酸素を産生し体に影響を与えます。


健康診断などで尿酸値が高いだけなら特に症状はありませんが、そのままの状態が続いてしまうと、突然激しい痛みを伴う「痛風」が起きてしまいます。


しかし、「高尿酸=痛風」と考えがちですが、高尿酸は心血管疾患や慢性腎臓病など動脈硬化に関連した疾患のリスクにもなるので注意が必要です。









尿酸値が高くなる原因は?プリン体は避けるべき?



尿酸値は食生活や生活習慣、アルコール摂取、体質、遺伝など、さまざまな要因によって上昇することが知られています。


尿酸値を下げるためにプリン体がたくさん入っている食品を極端に避ける必要はないことを知っていましたか?


前述のようにプリン体は細胞の核を構成する成分であるため、ほとんどすべての食品に含まれています。


しかし、食品から作り出される尿酸は全体の10~15%程しかなく、残りの85~90%は細胞の材料として、また体や脳を活動させるためのエネルギー源として使われたプリン体が尿酸となり排泄されています。


そのため、食事に含まれるプリン体を気にすることも大切ですが、生活習慣全体を改善することが必要となってきます。








尿酸が高くなる原因の9割が体質と肥満



尿酸は作られてもちゃんと排泄されればよいのですが、高尿酸の方の9割は尿酸の排泄が悪いそうです。


排泄を悪くする主な原因は「肥満」と「体質」とのこと。


肥満になってしまうとインスリンの分泌が十分であるのに効果を発揮できない状態(インスリン抵抗性)に陥ってしまします。


インスリンは腎臓からの尿酸の排出を抑制する方向に働くため、高尿酸に陥りやすくなります。


また同時に、肥満によってプリン体の合成が促進され、尿酸の生成量が増えることも知られています。


尿酸値が高いと何が悪い?




尿酸は酸化ストレスを抑制する作用があり、生体にとって重要な成分である一方、過剰な尿酸は生体に悪影響を及ぼすことがあるため、適正な尿酸値を維持することが大切です。

尿酸の基準値は7.0mg/dL、この状態を超えると「高尿酸血症」と判定されます。

血液中の尿酸は濃度が低ければ溶けた状態を維持することができますが、濃度が上がってしまうと溶けきれなくなった尿酸が結晶として血液に析出し始めます。

この状態が長く続くと関節など体の至るところに沈着してしまい、痛風をはじめ様々な疾患を引き起こす原因となってしまいます。


尿酸値が低いと?




一方、尿酸値が2.0mg/dL以下となると低尿酸血症と判定されます。


低尿酸血症の場合、激しい運動後に(無酸素運動)に急性腎不全を合併する頻度が高いことがわかっていいますが、そのメカニズムについてはよくわかっていません。


腎臓における血液の不足が原因であると考えられています。


ビタミンCは尿酸を下げることができる?




もともと私たちは痛風になりやすい動物であることを知っていましたか?


主に肝臓で作られる尿酸は、ヒト以外の動物ではウリカーゼという酵素で分解されます。


しかし、1500万年くらい前にヒトを含む類人猿は何らかの原因で尿酸を分解するウリカーゼを持たなくなってしましました。


私たちは痛風になりますが、犬や猫などが痛風にならないのはこのためです。


ご存じのようにわたしたちは4000万年前にビタミンCを作る酵素をなくしてしまったため、体の中でビタミンCを合成することができません。


その結果、尿酸が酸化ストレスを抑制するための物質として体の中に増えたのではないかとも考えられているそうです。


ビタミンCと尿酸の関係については、多くの研究が行われています。


例えば、2008年に報告された研究では、1日当たり400~500mgのビタミンCを摂取すると尿酸値が低下することが明らかにされています。







また、2011年に報告されたメタアナリシス研究では、ビタミンCを1日あたり200~2,000 mg(中央値500mg)摂取すると血中の尿酸値が減少するという結果が得られています。

※メタアナリシス研究:過去に独立して行われた信頼できる複数の臨床研究のデータを収集・統合し,統計的方法を用いて解析した研究。最も質の高い根拠とされる。

2021年に報告されたメタアナリシス研究でも、ビタミンCを経口補給することで血清中の尿酸値を減少させる効果があることが示されています。


参考)

J Rheumatol. 2008 Sep;35(9):1853-1858.

Arthritis Care and Research 2011; 63(9): 1295-1306.

Complement Ther Med. 2021 Aug;60:102761.


尿酸値を下げる食品として野菜やきのこ、海藻類、バナナ、牛乳・乳製品などがあります。


ビタミンCは、「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」でも積極的に摂るよう実践・推奨する項目、エビデンスレベルBと評価されています。


このことからも、ビタミンCは尿酸値を下げる作用があるといってよいかと思います。


とはいえ、尿酸が高い方のほとんどが肥満体質といわれているので、まずこちらの対策を行いましょう。


  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。
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