食べ物の匂いを嗅いでも食中毒は防げない

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夏場になると食中毒のニュースを目にすることが多くなります。


肉や魚などの生鮮食品や冷蔵庫に保存していた料理を食べる際に、匂いを嗅いで安全かどうかを確認した経験のある方は多いかと思います。


しかし、食中毒を引き起こす微生物やウィルスが食品に付着しても、腐敗とことなり「味」「色」「におい」が変わるわけではないので、これらを確認することはできません。



夏場だけではない食中毒



夏場に多いイメージの食中毒ですが年間を通して1000件程度発生しています。


2022年の食中毒発生状況によると、通年、細菌による食中毒が発生していますが6月と10月がピークになっています。また、ウィルスによるものは夏場に発生することはほとんどなく、冬場に多くなっています。


冬に発生するほとのんどの食中毒は、低温で乾燥した環境に強く、非常に感染力が高いノロウィルスによるものです。









2022年での発生施設別は、圧倒的に飲食店が380件(39.5%)と多く、販売店87件(9%)、事業所等給食25件(2.6%)ですが、家庭を原因とするものも多く、130件(約13.5%)で亡くなった方も2名出ています。


腐ったものを食べたから食中毒になる訳ではない




食中毒と腐敗は、どちらも食品の中で微生物が増殖するところまでは同じですが、実は別の話になります。


腐敗とは細菌などの微生物が増えた結果、その食べ物本来の色や味、香りなどが損なわれて食べられなくなってしまうものです。


微生物の種類は特に決まっていないため、食中毒菌がいなければ下痢や嘔吐などの食中毒症状が出ない可能性もあります。


一方、食中毒の原因となるのは、サルモネラ菌や腸炎ビブリオ、ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌(O-157やO-111など)、ウェルシュ菌、ノロウイルスなど特定の食中毒微生物です。


このような細菌やウィルスが食品に付着しても見た目に大きな変化もなく色や匂いはかわりません。


このように、腐敗菌と食中微生物は別物になります。


もちろん腐るような状態に置かれた食品には食中毒微生物が含まれている可能性が十分にあります。


食中毒の多くは「腐った食品」ではなく「食中毒微生物がついた食材」が原因で発生しています。









主な食中毒微生物の特徴




食中毒の予防原則は「付けない・増やさない・やっつける」の3点です。


食中毒微生物の特徴をまとめてみました。










参考)

厚生労働省 細菌による食中毒

厚生労働省 食中毒統計資料(令和元・四年)





食材の匂いを嗅ぐだけで細菌やウィルスがいるかは判断できませんが、食材の安全性を確認する際に匂いを嗅ぐことは食中毒予防という面ではいいと思います。


食中毒の発生は飲食店によるものが多いので、流通、調理、販売、管理などすべての過程が、衛生的に信頼できそうなお店で買ったり、食べたりするというのも大事かもしれません。



  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。
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