ビタミンCやα-リポ酸の他にマルチミネラルビタミンを摂っている方もいるかもしれません。
米国の研究機関マス・ジェネラル・ブリガムやコロンビア大学などの研究グループが5,000人以上を対象とした解析により、毎日マルチビタミンミネラルを摂ることで記憶力や認知機能の低下を防げるかもしれないと報告しています。
この報告は、2023年12月21日のAmerican Journal of Clinical Nutrition誌のオンライン版に記載されています。
マルチビタミンミネラルで記憶力向上
研究グループは、「COSMOS (COCOA Supplement and Multivitamin Outcomes Study) 」とよばれるカカオ抽出物とマルチビタミンのサプリメントの有効性についてテストする大規模な全国規模の無作為化試験のデータを用いています。
COSMOSは60歳以上の米国人21,442名を対象に毎日カカオ抽出物を摂取した場合とマルチミネラルビタミンを摂取した場合の病気など健康上の問題に与える影響について比較検討する目的で行われています。
参加者は4つのグループに分けられ、カカオ抽出物、マルチミネラルビタミン、プラセボのいろいろな組み合わせを摂ってもらっています。
そして、2年間に渡って対面式の認知テストを終えた60歳以上573人について解析したところ、マルチミネラルビタミンはエピソード記憶と遂行機能の向上に有意に関係していることがわかりました。
先行研究を追加しメタ解析
さらに、研究グループはこの対面式テストの結果と先行研究で行われた電話式テスト(2,158名)とWEBテスト(2,472名)のデータ、合計5,203名を対象にメタアナリシスといわれる統計解析法を用いて解析を行いました。
その結果、すべての方式を加えてもマルチミネラルビタミンが全体的な認知能力とエピソード記憶の向上が認められたことで、より高い確証が得られています。
しかし、注意力を高めるような結果を得ることはできませんでした。
研究グループはマルチミネラルビタミンがプラセボと比較して、認知的老化を平均2年遅らせたと推定しています。
今回の研究結果は、直接的な因果関係を証明するには十分ではないもの、マルチミネラルビタミンは健康上の利点を与えると研究グループは考えています。
また、どの栄養素が最も影響を与えているのか、認知機能に影響を与えるメカニズムなどについてさらに解析を進めていきたいとしています。
参考)
Am J Clin Nutr. 2023 Dec 21:S0002-9165(23)66342-7.
40代、50代と年齢を重ねると健康上の問題がいろいろ出てきます。
この研究結果を見る限りミネラルやビタミンをバランスよく摂ることは健康の維持に必要であるといえそうです。
しかし、栄養バランスのとれた食事を続けるのもなかなか難しいものです。
マルチミネラルビタミンといったサプリメントを活用するのもよいかもしれません。
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。