間質性肺炎の治療にビタミンCが有効な可能性

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間質性肺炎は、通常の細菌による肺炎ではなくさまざまな原因で肺の壁を中心に炎症が咳や息切れでる病気です。


その多くは原因が不明で、また治療も難しい病気です。


さらに間質性肺炎を患っていると肺がんを合併する可能性が高いことが知られ、間質性肺炎から肺がんに進行するメカニズムについてはよくわかっていません。


広島大学大学院の研究グループは、間質性肺炎合併肺がんの新しい知見とともに、ビタミンCが治療薬として使用できる可能性があることを明らかとしています。


この研究報告は、2023年11月27日の「Journal of Translational Medicine」オンライン版に掲載されています。



間質性肺炎とは?



肺には空気の通り道である気管支があり、それが枝分かれして「肺胞」といわれブドウの房状の組織につながっています。この肺胞の壁の事を「間質」といいます。


肺炎は肺胞の中が細菌に感染することで起こりますが、間質性肺炎は間質に炎症が起こったものです。


そのため、間質性肺炎は肺炎と病名がついていますが、肺炎とはまったく異なる病気です。











間質性肺炎は肺がんの危険因子とされ、間質性肺炎があると健康な方に比べて肺がんを合併することが7~14倍も多く、その進行も早いことが報告されています。


また、間質性肺炎と肺がんが合併している場合、手術や放射線、抗がん剤(化学療法)など主ながん治療を行うと、間質性肺炎が急激に悪化することもあるため治療選択肢が少ないという問題があるそうです。


そのため、間質性肺炎や間質性肺炎合併肺がんの病態解明や新しい治療法の開発が急務となっています。


しかし、今まで適切な動物モデルがないため十分な病態検討や治療法についいて検討を行うことができませんでした。


今回、広島大学の研究グループが「間質性肺炎モデル」と「がんを肺に移植したモデル」を組み合わせた「間質性肺炎合併肺がんマウスモデル」を開発したことで研究が一歩進みました。


間質性肺炎と肺がんでHIF-1シグナル伝達経路が関与



開発された「間質性肺炎合併肺がんマウスモデル」の細胞を観察すると、がん細胞の周りに集まる細胞が変化しており、実際の患者と同様にがんが早く大きくなること、転移を起こすようになることが確認されました。


その理由を探るために、細胞を採取し遺伝子の発現量を解析すると、肺がんと間質性肺炎の両方でHIF-1シグナル伝達経路の活性化が関与していることが明らかとなりました。


HIFとは、Hypoxia inducible factor(低酸素誘導因子)のことで、細胞内が低酸素状態に陥った際に活性化されるタンパク質、転写因子のことです。


HIF-1、-2、および-3の3つのファミリーからなり、HIF-1ががんの進行に関与していると考えられています。


この結果をもとに、間質性肺炎合併肺がんモデルにHIF-1阻害薬を投与すると、肺がんも間質性肺炎も進行しなくなることがわかりました。


しかし、HIF-1阻害薬はこれらの疾患の進行を抑制する一方で心臓や血管にダメージを与えるため、実際の患者に使用することはできないそうです。


そこで、その代わりとなる治療薬としてHIF-1の分解を助けるビタミンCを用いて検討を行っています。


ビタミンCでもHIF-1阻害薬と同等の効果



研究グループはHIF-1阻害剤の代りに腹腔内にビタミンC(4g/体重kg;pH7.0)を注射し細胞などを観察した所、HIF-1阻害剤と同じくらいHIF-1シグナル伝達経路を抑制していることを明らかにしています。


その結果として。肺がんと間質性肺炎の両方の進行を抑えることがわかりました。
















参考)
肺癌.2017;57:819-825.
J Transl Med. 2023 Nov 27;21(1):857.
広島大学ニュースリリース 令和5年12月21日





研究グループは、間質性肺炎合併肺がんモデルを用いてさらなる病態メカニズムの探求やビタミンCの臨床での応用が期待されます。


また、このモデルに使用したビタミンC量は比較的高いため、ヒトへの投与方法については考慮する必要があるとしています。

  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。
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