秋といえば「食欲の秋」、秋の食材といえばカボチャや柿が代表的です。
これから寒くなる冬を迎える前に、秋の食材で免疫力を整えましょう。
今回は、カボチャと柿についてご紹介します。
抗酸化ビタミンが揃ったカボチャ
カボチャの収穫時期は夏ですが旬は秋、収穫時期と旬がズレている珍しい野菜です。
現在、市場に流通しているカボチャは、夏に収穫されたものを貯蔵して熟成させたもので、甘みや栄養が増してより美味しくなっています。
特に「3大抗酸化ビタミン」といわれ、βカロテン(体内でビタミンAに変換)、ビタミンE、ビタミンCの“ビタミンACE”が含まれています。
カボチャは、皮・果肉・ワタ・タネに分かれますが、このうち最もβカロテンが含まれているのが皮の部分です。
また、タネにはリノール酸やビタミン類、ナイアシンなどの栄養素が含まれています。
食物繊維も100gあたり4.1gとサツマイモの3.8gを上回り、特にワタの部分には果肉の約5倍程度も含まれています。
ビタミンACEの抗酸化作用で、日々の寒暖差による酸化ストレスを軽減し、免疫力を整える働きが期待できます。
さらに、豊富な食物繊維が腸内細菌のバランスを保ち、腸内環境を整えることで免疫力アップにもつながります。

秋の果実、柿でビタミン補給
カボチャと並ぶ秋の代表食材といえば「柿」。
「柿が赤くなると医者が青くなる」といわれるほど、健康効果の高い果物です。
柿にはビタミンCが非常に豊富で、1個(約150g)で1日に必要な量のほとんどを摂ることができます。
ビタミンCは、免疫細胞の働きを助けるだけでなく、コラーゲンの生成を促し、肌や粘膜を健康に保つ働きがあります。
また、カボチャと同じくβカロテン(ビタミンA)も含まれており、体内で活性酸素を抑える抗酸化作用が期待できます。
さらに、水溶性・不溶性の食物繊維が含まれているので、腸内環境の改善にも効果的です。
注目したいのが、渋柿に多く含まれる「タンニン(渋味成分)」。
タンニンはポリフェノールの一種で、血中のコレステロールやアルコール代謝を助け、生活習慣病の予防にも役立つといわれています。
また、柿には体の余分な塩分を排出する「カリウム」も多く、むくみ軽減や血圧のコントロールにも効果的です。

渋柿の渋抜きは意外と簡単
スーパーなどで販売されている柿の多くは甘柿ですが、自宅で実った柿が渋い場合もあります。
柿が渋いのは「タンニン」が原因です。タンニンには水溶性と不溶性があり、甘柿に含まれるのは不溶性タンニンで、口に入れても溶け出しません。
一方、渋柿に含まれるのは水溶性タンニンで、口の中で溶けて強い渋みを感じます。
実は、渋抜きは、タンニン自体を失くす方法ではなく、水溶性のタンニンを“不溶性”に変えることで渋みを感じなくする方法です。
不溶性タンニンに変化させることで、口に入れても渋みが出ず、甘く感じるようになります。
簡単な渋抜きの方法を2つご紹介します。
●ボウルに焼酎(アルコール度数30度以上なら代用可)に柿のヘタを漬け、ビニール袋に入れて密封し、1~2週間ほど常温で置く。
●皮をむいて十字の切込みを入れた柿をラップの上に置きスプーン半分ほどの焼酎をかけて包み、電子レンジ600Wで30~40秒加熱して冷ます。
一般的に、渋柿が干し柿に使われるのは、干すことで水溶性タンニンが不溶性に変わること、そして渋柿の方が甘柿より糖分が多いことが理由です。
カボチャの栄養を効率よく取り入れるには?
カボチャは皮や果肉などすべての部位に栄養が詰まっています。なるべく全部食べるようにしましょう。
●皮ごと食べる
栄養素は皮にも多く含まれています。皮のゴツゴツが気になる場合は、硬い部分だけ取り除くと食感がよくなります。
● 油と一緒に
βカロテン(ビタミンA)とビタミンEは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ることで吸収率が高まります。
● 煮汁も一緒に食べられる調理で
ビタミンCは水溶性のため、スープや煮込み料理など、煮汁ごと食べられる調理方法がオススメです。ただし水溶性で熱に弱いため、生で食べるか、スープなどにして無駄なく摂るのがおすすめです。手間はかかりますが、ポタージュにしてカボチャの栄養を丸ごと摂るのもよいでしょう。

柿を美味しく食べるポイントは?
●朝か昼に食べる
柿に多く含まれるビタミンCやカリウム、食物繊維は、朝〜昼に摂取すると吸収効率が高まりやすいとされています。
● 乳製品や良質な脂質と一緒に
柿に含まれるβカロテン(ビタミンA)は脂溶性ビタミンのため、ヨーグルト、ナッツ、アボカドなどと一緒に食べると吸収がよくなります。
●温めて食べるのも
薬膳の世界では柿は「体を冷やす果物」といわれます。冷えが気になる方は、電子レンジで温めてコンポート風にすると、体にやさしく食べやすくなります。

柿とカボチャ、どちらも秋が旬の栄養満点の食材です。
ビタミンACEを中心とした抗酸化作用で、寒暖差や季節の変わり目の体調管理に役立てましょう。
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

