小中学生の20%は骨密度が低下している!

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人の一生のうちで骨量が増えていくのは、身体がつくられていく思春期、成長期の間だけです。


骨はだいたい16歳ぐらいまでに形成され、20歳で骨量がピークに達し、その後、骨量は増えることなく徐々に減っていき、50歳くらいから急激に減少していきます。


つまり、子供の時期にどれだけ丈夫な骨を作ったかによって、将来を健康的に過ごせるのかが決まってきます。


今回は、子供たちの骨形成の現状や大人の骨量維持のポイントなどについてご紹介します。



子供に不足していると思うのはカルシム




小中学生の子供がいる親600人を対象に行われたアンケートでは、カルシウム、ビタミン、鉄の順番で栄養素が不足していると感じています。








日本人の食事摂取基準(2020年版)では、12~14歳男児のカルシウムは1日あたり1000mgが推奨されています。


この量は、牛乳5杯分、納豆27パックに相当し、毎日摂取するにはなかなか難しいのが現状です。


厚生労働省が発表する子供のカルシウム推奨量と摂取量の年齢区分が異なるため一概に比較することはできませんが、推奨量に対して、1/2~2/3程度しか摂れていないようです。


では、子供たちの骨にどのような影響が出ているのでしょうか?


小中学生の20%は骨密度が低下




和歌山県立医科の研究グループは、小中学生の20%に骨密度の低下が認められると報告しています(第26回日本骨粗鬆症学会)。


研究グループは、2023年度に小学校、中学校に在籍していた学生705名(10.4±2.6歳、男性52.1%)を対象に、子供ロコモ健診、骨密度測定、アンケートが実施し、その情報と骨密度の関係について調査しています。


また、同じ年齢を比較した場合、骨密度が90%未満を骨密度低下と定義し、ローレス指数や1日の睡眠、運動、スクリーンタイムなどとの関係についても評価しました。


ローレル指数とは、7歳から思春期の発育状態や肥満の程度を表す指数になります。






解析した結果、以下のことが明らかとなりました。

  • 骨密度低下群は、134例(19.1%)
  • 骨密度低下群は、ローレル指数が低い(129±19 vs. 124±19)
  • 骨密度低下群は、睡眠時間が短い(507±46分 vs. 487±53分)
  • 骨密度低下群は、子供ロコモの割合が高い(23% vs. 31%)
  • 骨密度低下群は、スクリーンタイムが1時間以上の割合が多い(69% vs. 81%)



また、夕食と朝食の時間間隔が長いほど、脳血管疾患のリスク低下と関連していたとのこと。


年代別骨量増加・維持のポイント




高齢になるとロコモ(運動機能が低下した状態)になる危険性が高くなってきますが、突然なるものではありません。


幼少から思春期の睡眠時間の減少や運動不足が将来的な骨粗鬆症リスクを高めるといわれていますが、もちろん大人も骨量が減るのを予防することができます。









それぞれの年代別のポイントは以下の通りです。


●10代

骨量が増えていくのは成長期の間だけなので、この時期に骨量が最大になるように心がけることが必要になります。

  • 食事から栄養をバランスよく取りましょう
  • 給食で飲んでいる牛乳を休日にも飲みましょう
  • クラブ活動などで運動を習慣にしましょう
  • 過度なダイエットはやめましょう


●20~30代


成長期に獲得した骨量は40代頃まで維持され、骨量の減少は生活習慣も大きく関係してきます。

  • カルシウム、ビタミンD、ビタミンC、タンパク質を積極的に取りましょう
  • やせ型の方は骨粗鬆症のリスクが上昇します。過度なダイエットをやめましょう
  • 運動を習慣にしましょう
  • ビタミンDを体内で作るに過度の紫外線防御はやめましょう
  • 喫煙と過度の飲酒は控えましょう



●40~50代


骨量の減少が始まる時期です。特に女性は閉経前から閉経後までの10年で15%減少します。

  • カルシウムとビタミンD、ビタミンCを積極的に取りましょう
  • 運動を習慣にしましょう
  • 喫煙と過度の飲酒は控えましょう



●60代以降


加齢とともに骨粗鬆症が増加してくる年代です。まずは骨折しないような対策が必要です。

  • カルシウムとビタミンDを積極的に取りましょう
  • BMIが低い人は骨折するリスクが高いため、適切な体重を維持しましょう
  • ウォーキングなど日常的に運動を取り入れ体を動かしましょう
  • 転倒に注意しましょう
  • 腰や背中が痛い、身長が縮んだような気がするときは一度医療機関で受診しましょう
  • 骨粗鬆症と診断されたら骨折を防ぐため治療を開始しましょう




参考)

株式会社ビタブリッドジャパン調べ. 2023年12月

公益財団法人骨粗鬆症財団 骨粗鬆症年代別予防のポイント





骨に必要な栄養素を調査したあるアンケートでは、カルシウム(79%)、ビタミンD(47%)、タンパク質(34%)コラーゲン(28%)、ビタミンK(19%)の順で認知率が低くなっていました。


ちなみに、コラーゲンは体内で吸収されても24時間経つとなくなるとされています。


コラーゲンを作るにはビタミンCが必要不可欠、納豆に含まれるビタミンKも合わせて積極的に摂っていただければと思います。


骨は約3年周期で生まれ変わります。コツコツ必要な栄養素を摂って骨の健康を維持しましょう。



  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

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