発酵食品と食物繊維を摂るとストレスが減る!? 

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ストレス解消のためには、運動や睡眠、趣味、旅行、カラオケなどが効果的です。

しかし、なかなか時間がとれないこともあります。そんな時は「発酵食品」と「食物繊維」を摂ると良いかもしれません。

今回は、アイルランド国立大学コーク校が10月27日に科学雑誌 Molecular Psychiatry誌に報告した「発酵食品」と「食物繊維」を取り入れた食事による、ストレスレベル低下や睡眠の質の改善についてご紹介します。


脳と腸は関係している



長い間、脳は高機能な臓器とされている一方、腸は単なる消化し排泄するだけの下等な器官と考えられていました。

しかし、脳と腸には密接なコミュニケーションがあり、それが過剰だったり不足したりすると様々な病気の原因になることが明らかになってきています。

また、食事がメンタルヘルス(精神・心の健康)に影響を及ぼすことも、徐々にわかってきています。

バランスの良い食事をしていれば、心も健康でいられますし、カップ麺などファストフードばかりでは、メンタルに不調が出てしまいます。

しかし、食事がメンタルヘルスに与える影響のメカニズムはまだ、十分にわかっていないのが現状です。

例えば、腸内環境の情報が神経系を通して大脳に伝わることで、消化不良や腹痛に伴う抑うつや不安が生じると考えられています。

もし腸内環境が整っていれば、メンタルも健康でいられる可能性も考えられます。

そこで研究グループが行ったのが、腸内細菌叢を整える食生活がストレスレベルにどう影響をするのかという研究になります。






発酵食品と食物繊維を4週間摂取



研究グループは、18~59歳の健康な男女45人を2つのグループに分けて、異なる食事メニューを4週間続けて摂ってもらいました。

一般的な食事ピラミッドに基づいたバランスの食事を摂ったグループ。

このグループには、緑黄色野菜と鶏肉、魚、卵などのタンパク質、果物をバランスよく摂取し、白米やパン、パスタ、ジャガイモの量は減らした食事メニューを摂ってもらいました。

もう一方のグループには、発酵食品と食物繊維の摂取量を増やした食事メニューを摂ってもらいました。

このメニューは腸内細菌叢の健康を保つために考案された献立とのことです。

発酵食品とは、腸内に存在する善玉菌そのものを摂取する食品でヨーグルトや納豆、味噌などが当てはまります。

また、食物繊維とはオリゴ糖とともに腸内細菌のエサとなる食品で、穀類やきのこ類、海藻、柑橘類が代表的なものになります。






ストレスが緩和し、睡眠の質も改善



4週間のトライアル後に行ったアンケート調査の結果、発酵食品と食物繊維の摂取量を増やしたグループは、単にバランスの良い食事を摂ったグループに比べて、「ストレスを感じにくい」と回答していることがわかりました。





また、両食品の摂取量とストレスの感じ方には相関関係が見られ、4週間のうちに発酵食品と食物繊維をより多く摂取していた人ほど、ストレスレベルが低くなっていることも明らかとなっています。

さらに、2つのグループの腸内細菌叢を分析したところ、細菌叢の組成や機能にそれほど大きな違いはなかったとのこと。

しかし、腸内細菌が産生する特定の化学物質を見ると著しい変化が確認され、これがメンタルヘルスを向上させたのではないかと研究グループは考察しています。

さらに、睡眠の質はどちらのグループでも改善されていましたが、発酵食品と食物繊維を摂ったグループの方がその効果が大きかったと述べています。

参考)Mol Psychiatry. 2022 Oct 27. doi: 10.1038/s41380-022-01817-y.



今回の調査ではコロナ禍の影響で参加者が少なく、調査期間も短くなってしまったとのこと。

今後は、健康な人だけではなく、ストレス緩和の持続性や精神的に不安を抱えている人にも同じような効果が認められるのかを調査していく予定だそうです。

ビタミンCにもストレス解消作用があるので、ストレスを感じた時はいつもより多めに摂取することを心がけましょう。



  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

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