シリーズ第3話です。
このシリーズの冒頭で、ビタミンCの抗酸化作用についてお話ししました。
しかし、抗酸化作用を持つ抗酸化(還元)物質はビタミンCだけではありません。
助け合う抗酸化物質たち
自然界には抗酸化物質が数百種類と言われるほど数多あります。
ヒトの身体の中でもいろいろな抗酸化物質が活性酸素と戦ってくれています。
元々はそれらの抗酸化物質が個別に活性酸素と戦っているものと思われてきました。
しかし、抗酸化物質はそれぞれがお互いに補完し合いながら活性酸素退治をしていることが分かってきています。
抗酸化ネットワーク
それらの中でも、特にビタミンC・ビタミンE・コエンザイムQ10・アルファリポ酸・グルタチオン・β-カロテン・セレン・アントシアニジンの8種類の抗酸化物質は、特にほかの抗酸化物質を補完する力が強いと考えられています。
このお互いに助け合いながら身体の中で活性酸素退治に大活躍している物質の働きは、“抗酸化ネットワーク”と呼ばれています。
ヒトの健康にとって貴重な抗酸化物質をリサイクルして節約するメカニズムということです。
蘇る抗酸化物質
抗酸化ネットワークのメンバーは、それぞれが単体で活性酸素を無毒化することができます。
その結果、自らは酸化してしまうのですが、それぞれの物質間で電子を融通し合って抗酸化(還元)作用を働くことで抗酸化物質として蘇ることができるのです。
たとえば、ビタミンCが活性酸素に電子を渡してそれを無毒化すると、電子をひとつ失ったそのビタミンCは活性酸素と同じフリーラジカルとなってしまいます。
ビタミンEも同じく抗酸化物質としての働きをするとフリーラジカルになってしまいます。
ただし、活性酸素と違ってこれらのフリーラジカルは凶暴ではありません。
そのうえにビタミンCラジカルはビタミンCやEやグルタチオンから電子をもらい、ビタミンEラジカルはビタミンCやコエンザイムQ10から電子を受け取って、もとの抗酸化物質として蘇るのです。
ひとつひとつを詳しくは書きませんが、このようにそれぞれの物質が網の目の様に補完関係をもって活性酸素と戦ってくれています。
不足しがちな栄養素
自然のメカニズムで無駄遣いしないようにしているということは、逆説的にこれらの物質は不足がちになりやすいということでもあります。
ビタミンCやE、またビタミンAの前駆体であるβ-カロテンはそもそも生合成できないビタミンですから、意識的に食事やサプリで補う必要があります。
コエンザイムQ10やアルファリポ酸は生合成できますが、年齢に伴ってその能力が低下しますので、こちらも意識的に外部から取り入れる必要が出てきます。
グルタチオンは3種類のアミノ酸が連結したトリペプチドと言われる形態をしていて、そのままの形で口から摂取しても元のアミノ酸に分解されて消化吸収されるので、サプリメントで摂ることはできません。
ですから、良質なたんぱく質(=良質なアミノ酸)に富んだ食事をすることが重要です。
ビタミンCを気軽に摂りましょう
話が“ビタミンCの一石40鳥”からかなり外れてきてしまいましたが、ビタミンCは抗酸化ネットワークの中で、自ら活性酸素を退治しつつ、自らを再生させ、ほかの抗酸化物質を蘇生する大事な役割をこなしています。
加えて摂取の仕方に難しさやコツが必要なほかの物質と比べて水溶性で過剰症の恐れもないビタミンCは、食べ物でもサプリメントでも気軽にたくさん摂りたいものです。
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