毎週末に1週間分の食材をまとめ買いして、計画的に食事を準備している方も多いのではないでしょうか?
効率的で無駄のない習慣ですが、実は冷蔵庫の中で野菜の栄養素は少しずつ変化しています。
ただし、まとめ買い自体が問題なのではありません。保存中に何が起きているかを知り、少し使い方を工夫するだけで、栄養をしっかり活かすことができます。
今回は、野菜の栄養素が冷蔵保管によってどのように変化するのか、特に体によいといわれている抗酸化物質の視点からご紹介します。
この研究は、2017年6月号のAntioxidants誌 に記載されています。
冷蔵保存で栄養はどう変化するのか?
この研究では、野菜や果物に含まれる抗酸化物質が、保存によってどのように変化するかが整理されています。
研究グループはインド市場で購入した、19種類の野菜・果物を、冷蔵庫とほぼ同じ4℃で15日間保存し、抗酸化物質の変化を観察しました。
日本でなじみのあるものとしては、オレンジ、ザクロ、ホウレン草、ナス、トマト、キャベツ、ニンジンなどが含まれています。
測定対象は以下の通りです。
- 抗酸化活性:活性酸素を除去する能力を数値化したもの
- 総ポリフェノール:食品中に含まれるポリフェノールの総量
- フェレール酸:ポリフェノールの構成成分の一部
- ビタミンC:水溶性で酸化しやすいビタミン
- アントシアニン:赤や紫といった色素成分

15日後、野菜はどうなった?
保存している間、野菜の中ではどんな変化が起きているのでしょうか?
全体として、保存期間が長くなるほど、抗酸化成分は徐々に減少する傾向が確認されています。
- 総ポリフェノール:15日間でハーブ系の葉物野菜が最大で29.7%の減少。
- ビタミンC:測定方法によって低下の幅が異なりますが、トマトで71.8%、ホウレン草で32.0%減少。
- 抗酸化活性:総ポリフェノールの減少と相関。測定方法によって低下幅は大きく異なりますが、半分以下になってしまう野菜もありました。また、葉物野菜で低下幅が大きい傾向がありました。
- フェノール:保存とともに増加していました。
- アントシアニン:保存による損失はほととんどありませんでした。

これらの結果から、保存期間の延長に伴い抗酸化力は低下する傾向があると考えられます。一方でフェノール酸の増加は、ポリフェノールが分解されて生成された可能性が示唆されます。
ポイントは野菜毎の違い
野菜は収穫後も代謝が完全に止まるわけではなく、ゆるやかに代謝を続けています。そのため、保存中もポリフェノールやビタミンCは分解・消費されていきます。
興味深いのは、「野菜によって変化の仕方が異なる」という点です。葉物野菜は変化が大きく、根菜は比較的安定しやすい傾向がみられました。
使い方を少し変える
実験結果から見えてくるのは、まとめ買いそのものが悪いのではなく、その後の使い方が重要という点です。
もちろん、数日で使い切るのが一番良いですが現実的には難しい場面も多いと思います。
●早めに使いたい野菜
ホウレン草などの葉物野菜やキノコ類は、保存中の栄養変化が大きいため、購入後できるだけ早く使いましょう。
●後半に使える野菜
ニンジン、ジャガイモ、タマネギなどの根菜・イモ類は比較的安定しているため、週の後半に回しても安心です。
●調理の工夫でビタミンCを守る
ビタミンCは水や加熱で失われやすい性質があります。茹でるよりも蒸す・電子レンジを使う、または汁ごと摂れるスープにするといった工夫で、損失を抑えることができます。
昔から「葉物・キノコから使い、根菜・イモ類は後回し」といわれてきましたが、今回の研究結果もこの知恵を裏付けています。
まとめ買いはそのままに、使う順番と調理法を少し意識するだけで、野菜の栄養をより上手に活かせそうです。
参考)
Antioxidants (Basel). 2017 Jul 24;6(3):59.
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

