ビタミンCと目の健康

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スマートフォンやパソコンを長時間使うことが当たり前になった今、「疲れ目」や「目のかすみ」「ドライアイ」などの悩みを感じる人が増えています。


そんな現代人の目の健康を支える栄養素のひとつが、ビタミンCです。


ビタミンCというと「美肌のビタミン」というイメージが強いかもしれませんが、実は目の老化予防や視力の維持にも深く関わっています。


今回は、ビタミンCと目の関係についてご紹介します。


   ビタミンCは目の働きに必要



目の中には「房水(ぼうすい)」という透明な液体があり、角膜や水晶体に栄養を運び、老廃物を排出する重要な役割を担っています。


この房水中のビタミンC濃度は、なんと血液中の20倍以上にもなり、それだけ、目の組織がビタミンCを必要としているということです。


ビタミンCが不足すると、目の酸化ストレスが高まり、視覚機能の低下を招くこともあります。


つまり、ビタミンCは目の内部環境を健やかに保つための基本栄養素のひつといとなります。








水晶体を守るビタミンCの抗酸化作用



光を集めてピントを合わせる「水晶体」は、タンパク質でできています。


目が紫外線にさらされると水晶体では活性酸素が発生します。この酸化ダメージによってタンパク質が変性することで起こるのが白内障です。


ここで重要な役割を果たしているのがビタミンCになります。


ビタミンCは強い抗酸化作用があるため、活性酸素を除去して水晶体の酸化を防いでいます。そのため、目の組織には十分なビタミンCが必要となります。


日本人を対象とした研究では、ビタミンC摂取量が多い人ほど白内障の発症リスクが低く、男性で35%、女性で41%も低下していたことが報告されています。


この傾向は日本だけではなく欧米でも確認されている共通の知見となっています。








目の健康には血流も大切



目の奥には、光を感じ取る「網膜」や、情報を脳に伝える「視神経」があります。


これらの組織は非常に細かい毛細血管によって酸素と栄養を受け取っており、血流が悪くなると視覚機能が低下しやすくなります。


血管はコラーゲンでできており、その合成にはビタミンCが不可欠です。不足すると血管がもろくなり、目の充血や疲れの原因になることもあります。


十分なビタミンC摂取は、血管の弾力を保ち、目の血流をサポートします。さらに、目の健康を守るためには「目の血流」だけでなく、全身の血流を整えることも大切です。


軽い運動やストレッチ、入浴などで血流を促すことも、疲れ目対策の一環になります。


加齢黄斑変性・緑内障の予防にも



網膜の中心部がダメージを受け、視界の中心が歪んだり暗く見えたりする病気が「加齢黄斑変性」です。


米国国立眼科研究所が行った「AREDS研究」では、ビタミンC・E・βカロテン・亜鉛を含むサプリメントの摂取により、加齢黄斑変性の進行が約25%抑制されたことが確認されています。


また、2025年10月号の『Nutritional Neuroscience』誌の報告では、ビタミンCが緑内障による網膜神経細胞の死滅を防ぎ、神経保護作用を示すことも明らかになりました。


つまり、ビタミンCは目の老化だけでなく、神経レベルの保護にも関与していることになります。


毎日の食事とサプリでこまめに補給



ビタミンCは体内で合成できないうえ、ストレスや紫外線、喫煙などで急速に消費されます。そのため、毎日の食事でこまめに補うことが大切です。


おすすめの食材は、パプリカ、ブロッコリー、キウイ、イチゴ、柿など。加熱に弱いため、生のまま、または軽く蒸すなどして取り入れるのが効果的です。


また、食事だけでは不足しがちなときには、サプリメントを上手に活用するのも選択肢のひとつ。


一度に大量に摂るよりも、少量を分けてこまめに摂取することで吸収率が高まります。









参考)

Eur J Nutr. 2007 Mar;46(2):118-24.

Ophthalmology. 2016 Jun;123(6):1237-44.

Arch Ophthalmol. 2001 Oct;119(10):1417-36.

PLoS One. 2022 Feb 25;17(2):e0264703.

Nutr Neurosci. 2025 Oct;28(10):1315-1333.







ビタミンCは「目の抗酸化バリア」ともいえる存在です。


目を酷使する現代社会だからこそ、ビタミンCを意識的に摂ることが、目の健康を守るための、シンプルな対策になるかもしれません。




  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。
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