病気の予防にはいつ食べるかも重要

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健康のために「何を食べたらよいか?」を考える方は多いかもしれません。


しかし、「いつ食べるか」も大切になってきます。


今回は、食事のタイミングと病気の関係などについてご紹介します。



朝食を午前8時までに夕食を午後7時までがベスト



糖尿病リスクを減らすには朝食を午前8時までに夕食を午後7時までに摂るのがよいとのこと。


この研究は2023年10月、バルセロナ国際保健研究所(スペイン)の研究グループがnternational Journal of Epidemiology誌に報告しています。


研究グループはフランスのコホート研究に参加した103,312人(女性79%)のデータを解析、中央値7.3年の追跡期間中に962人が2型糖尿病を発症していました。


*コホート研究:あるグループを追跡して、病気の発生などの健康状態の変化を調べる研究のこと


解析の結果、朝食を午前9時以降に摂っている人は、午前8時前に食べている人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが59%増加することを明らかにしています。


また、午後10時以降という遅い時間に夕食を摂っていても糖尿病リスクが高くなること。


さらに、食事の回数を5回に分けて少量ずつ取っている人は糖尿病リスクが低くなることも明らかになっています。








心筋梗塞や心不全予防も同じ時間がベスト




心筋梗塞や心不全など、いわゆる突然死の要因となる心血管リスクを減らすには、朝食と夕食を早い時間に摂った方がよいいう報告もあります。


これは同じ研究グループの国立農業・食糧・環境研究所(INRAE:フランス)が2023年12月にNature communications誌に報告しています。


同様に解析した結果、最初の食事をその日の遅い時間(朝食を抜く場合)に摂ると心血管疾患リスクが高く、時間が遅れるにつれてリスクが6%ずつ増加することが示されました。


例えば、午前9時に朝食を摂る人は午前8時に食事をする人よりも心血管疾患を発症する可能性が6%高くなるということになります。


夕食に関しては、午後9時以降に食べると心血管疾患リスクに関係していました。


特に女性では午後8時より前に摂った夕食と比較して午後9時以降では脳卒中などのリスクが28%増加していることが示されています。


また、夕食と朝食の時間間隔が長いほど、脳血管疾患のリスク低下と関連していたとのこと。


1日の必要カロリーのほとんどを朝食に摂ると肥満予防になる??




1日の必要カロリーのうちの大部分を早い時間帯に摂ると肥満が改善したとの別の報告もあります。


アバディーン大学(スコットランド)の研究グループは、肥満と判定された男性16人、女性14人を対象に検討を行っています。


最初の4週間を朝食にカロリーを集中させた食事、そして1週間間隔を開け、次の4週間は反対に夕食にカロリーを集中させた食事を摂ってもらいました。


その結果、朝食にカロリーを集中させた食事をしていた期間では、体重が平均3kg減少したと報告しています。


参加者はこの期間、食欲をうまくコントロールできるようになり満腹感も感じやすくなったと答えています。








食事時間が4時間ずれると大きな影響




夜遅い食事や間食を摂るのは体に良くないといわれていますが、厳密な環境下で肥満リスクが増加するメカニズムはわかっていません。


ブリガム アンド ウィメンズ病院(米国)の研究グループは、食事のタイミングが脂肪生成に関わる分子経路に影響を与えること報告しています。


食事の時間が4時間ズレただけで、空腹感や脂肪蓄積に影響を与えるそうです。


研究グループは、BMIが高く過体重や肥満と判定された16人(37.3±2.8歳、女性5名)を対象としています。


そして、早い時間に食事を摂った場合と、同じ食事を4時間遅らせて摂るようにスケジュールした場合とで比較を行っています。


参加者は一定の睡眠と覚醒のスケジュールを維持し調整した後に実験を行い、空腹感と食欲の定期的な記録や血液検査、体温、エネルギー消費量などを測定しています。


解析の結果、食事を遅らせると空腹感や食欲を調整するホルモンのレプチンとグレリンの分泌に大きな変化があらわれていました。


それにより、血液中のレプチンレベルが減少することで食欲に影響と与えていることが明らかとなっています。


レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで食欲をコントロールする働きがあります。


レプチンが減少することで満腹感を得られにくくなり、遅い時間に食事を摂ると食事量が増える可能性があります。


また、食事を4時間ずらしたことで、日中のエネルギー消費量が低下し、エネルギーの消費速度が遅くなっていました。


さらに、脂肪組織の遺伝子が発現し脂肪の生成が促進され、脂肪が体に蓄積しやすくなることも明らかとなっています。


参考)

Int J Epidemiol. 2023 Oct 5;52(5):1486-1497.

Nat Commun. 2023 Dec 14;14(1):7899.

Cell Metab. 2022 Oct 4;34(10):1472-1485.

Cell Metab. 2022 Oct 4;34(10):1486-1498.





後半にご紹介した2つの報告は研究規模が小さいこと、肥満判定の方を対象としているため、健常者を対象とした検討が必要になります。


食事の内容を気にする方は多いかもしれませんが、このような食事のタイミングや食事量のバランスは見落とされがちになるため参考にしていただけたらと思います。



  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。
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