筋トレは、スタイルアップや体力増進、筋力アップに効果的です。
しかし、なかなか続かなかったり、時間的余裕がなかったり、ツライから嫌いという人も少なくないかもしれません。
では、1日3秒、週3回で効果があるとしたらどうでしょうか?
新潟医療福祉大学などの研究グループは1日3秒、週3回の伸長運動で顕著な効果が得られたことを報告していたのでご紹介いします。
この報告は2024年1月号『European Journal of Applied Physiology』誌に記載されています。
筋肉を増やす2種類の動作
●コンセントリック運動(短縮性筋収縮運動)
コンセントリック運動は、荷物を持ち上げたり、引き上げる動作となります。
ダンベルなら腕を伸ばした状態から力こぶを作るような形で肘を曲げる動作になります。
筋肉を収縮させながら力を発揮するため、筋肉の強度を高めるのに有効な動作とされています。
●エキセントリック運動(伸張性筋収縮運動)
エキセントリック運動は、ダンベルなら肘を曲げた状態から前方に伸ばす動きを指し、重力に逆らうように「ゆっくりと」伸ばす動作になります。
最近の研究ではエキセントリック運動の方が筋肉により負荷がかかるので、筋肉を効果的に増やすのに有効であることが明らかになっています。
日常生活では、階段の昇降動作でこの2つの運動をしています。
階段を上がるときは下半身の筋肉がコンセントリックな収縮をし、下りでエキセントリックな収縮をします。
実感としては、階段を下るより上るほうがキツく感じますが、楽に感じる下りの方が、太ももの筋肉を鍛える効果があります。
筋トレは最低1回3秒週3回で効果あり?!
この研究グループは以前に、ダンベルを使って肘を曲げた状態からゆっくり伸ばす筋トレ(エキセントリック運動)を1回3秒、週5回、4週間実施することで、平均11.5%も筋肉が増えると報告しています。
今回の実験は、このエキセントリック運動によって効果が得られる最低ラインを検討した続編となります。
研究グループは、健康な学生26人を対象に、同じ運動を、1日3秒週2日するグループと1日3秒週3日するグループにわけて、前回と同じ4週間続けるプログラムを実施しました。
その結果、週2日のグループには筋肉の増加は認められませんでした。
一方で、週3日のグループでは筋肉量が平均3.0%(2.5-3.9%)有意に増加していることが確認されています。
以上の結果から、エキセントリック運動で筋トレの効果を得るには最低でも1回3秒、週3回行うだけで十分であると可能性を導き出しています。
研究グループは、こうした超短時間のトレーニングは筋肉の回復が容易なため、大規模なトレーニングよりも効果的に筋肉を増やせたのではないかと考察しています。
参考)
Eur J Appl Physiol. 2024 Jan;124(1):329-339.
Scand J Med Sci Sports. 2022 May;32(5):833-843.
もちろん週3回より週5回の方がよりよい結果が得られでしょう。
本格的に筋トレを行っている方に効果は見込めないと思いますが、ごくわずかな筋トレでも定期的に続けていけば体に変化をもたらす可能性は十分にありそうです。
全く運動をしないより、運動している方が生活習慣病予防や体形の維持、体力の維持・向上など多くのメリットがあることが報告されています。
1回3秒、週3回で1か月約36秒、両腕なら約72秒。
これなら筋トレが苦手な方も続けられるのではないでしょうか?
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。