お腹まわりが気になる、原因は生活習慣にあった!? 

お知らせ

最近、お腹が出てきた・・・と気になっている方も多いのではないでしょうか?


一般的にお腹ポッコリの原因は、食べすぎや運動不足、体質の変化などといわれています。


しかし、運動不足とある食生活が、お腹の周りの脂肪を増やす可能性が高いことが明らかになりました。


それは体重を気にして朝食を欠食することです。


今回は、名古屋大学が2024年9月、科学雑誌「Scientific Reports」に発表した報告などご紹介します。


肥満のタイプは2種類



中年期の肥満、いわゆるメタボは、エネルギーの過剰摂取や動物性脂肪(飽和脂肪酸)の摂りすぎによって起こると考えられています。


主に、肥満には2種類のタイプがあり、ひとつは皮下脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」、もうひとつは内臓脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」です。


後者の内臓脂肪型肥満が、いわゆる中年層に見られるお腹ポックリ肥満になります。


近年の研究では、内臓脂肪型肥満になると、脂肪細胞から健康に悪影響を及ぼすアディポサイトカインという生理活性物質が放出され、将来的に生活習慣病の発症につながることがわかってきています。







しかし、実験動物に高脂肪食を与えて肥満にさせても体全体の脂肪が増えるだけで、どのようにして内臓脂肪がたまるお腹ポッコリになるのか分かっていませんでした。


そこで、研究グループは、お腹ポッコリ肥満になるメカニズムを「朝食」と「運動」に着目して実験を行いました。



朝食の欠食でお腹ポッコリ??



研究グループは、活動量の少ない不活動状態にさせたラット(いわゆる運動不足)を作成しました。


このラットを2つのグループに分けて、通常の食事を与えたグループ、もう一方は、朝食を欠食させた状態で食事を与えるグループにわけて、11日間観察を続けました。


その結果、朝食を欠食させたグループのみに以下のような変化が見られました。

  • 体重の増加が見られなかったのに対し、内臓脂肪が顕著に増加した
  • 脂肪を蓄積する遺伝子の発現が変化して代謝リズムの乱れが生じた
  • 体温調節のリズムが崩れ、エネルギー消費が低下した


つまり、体重が増加したのは食べすぎではなく、朝食の欠食と運動不足の組合せが内臓脂肪の蓄積を引き起こしたということになります。


その理由として研究グループは、「朝食欠食をすることで、体内時計が乱れて、体温上昇のリズムが遅れ、肝臓や脂肪組織の脂質関連遺伝子のリズムも遅れることで、脂質代謝の乱れて内臓脂肪の蓄積が起きた」と説明しています。


これは、ダイエットで朝食を抜くことは逆効果であることを示唆しています。








朝食を食べることの利点は多い



リューベック大学(ドイツ)の研究グループは、成人男性を対象とした研究で、朝食をしっかり摂ることで、夕食をたくさん食べるよりも、肥満や糖尿病を予防・改善するのに効果的であることを報告しています。


食事に含まれているカロリーに関係なく、朝食は夕食に比べて、体の食事誘発性熱生産が2倍以上になっていたとのこと。


食事誘発性熱生産とは、食事に伴うエネルギー消費の事で、体内の代謝がどれだけ良く機能しているかの指標になります。


また、朝食をしっかりとることで、血糖値とインスリンの上昇が抑えられ、1日を通して甘いものに対する欲求が少ない傾向もみられています。


同様な研究は、肥満のある女性を対象に、1日の食事をカロリーの比重を夕食よりも朝食多く配分すると、体重やウェストが減りやすいとの研究があります。


朝食のカロリーの比重を増やすと、食欲を亢進するホルモンであるグレリンの働きが弱まり、空腹感を調節しやすくなったことで、1日の後半に間食への欲求が少なくなったのではと、考察されています。



朝食はタンパク質を意識



朝食をしっかり摂ることで、1日を通して満腹感が高まり、集中力も高められることを、オーフス大学(デンマーク)が報告しています。


研究グループは、肥満のある女性を対象に、タンパク質が多い朝食、糖質が多い朝食、朝食を食べないグループで検討しています。


その結果、ヨーグルトなどの乳製品やオーツ麦の入ったシリアル、タンパク質が多い朝食を摂ると、満腹感と集中力が高まったことがわかりました。


特に、朝食でタンパク質を多く摂ると、満腹感が高められ、体重増加の防止に効果的であることが示されています。









参考)

Sci Rep. 2024 Sep 30;14(1):22644. 

名古屋大学プレスリリース. 2025年3月4日

J Clin Endocrinol Metab. 2020 Mar 1;105(3):dgz311.

Obesity (Silver Spring). 2013 Dec;21(12):2504-12.

J Dairy Sci. 2024 May;107(5):2653-2667.






朝食のカロリー配分を大きく、タンパク質中心の朝食を摂り、日常的に体を動かすことで、生体リズムのスイッチが入り、脂肪の蓄積を防いでくれるようです。


朝はなにかと忙しいですが、ヨーグルトやバナナ、チーズなどの手軽な朝食を摂るだけでも、効果が期待できるかもしれません。




  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。
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