朝食の定番として、多くの人が何気なく飲んでいるオレンジジュース。
何気なくコップに注いで飲んでいる方も多いかもしれません。
実は、さまざまな健康効果を私たちにもたらしてくれることが明らかになっています。
最新の研究でオレンジジュースは、私たちの体の中で遺伝子の働き方そのものに影響を与えていることが示唆されました。
この報告は2025年10月30日に「Molecular Nutrition & Food Research」誌オンライン版に記載されています。
2か月間1日500mlを摂取
この研究では、21〜36歳の健康な男女20名(各10名)を対象に調査が行われました。
研究方法はとてもシンプルで、1日500mlの100%オレンジジュースを、2か月間毎日飲み続けるというもの。
その前後で、参加者の血液を採取し、血液中に含まれる免疫細胞の状態を詳しく調べました。特に注目したのが、「遺伝子がどのくらい働いているか」という点になります。
遺伝子は存在しているだけでは意味がなく、「どれだけ活発に働いているか(オン・オフ)」が重要になってきます。この研究では、遺伝子の働き方の変化について調査しています。

遺伝子は変化するの?
「遺伝子が変わる」と聞くと驚くかもしれませんが、正確には遺伝子そのものが書き換わるわけではありません。
私たちの遺伝子は、どれを使うか?どのくらい使うか?が日々変化しています。食事や運動、睡眠、ストレスなどによって、遺伝子のスイッチがオンになったりオフになったりしているのです。
この研究は、オレンジジュースという身近な飲み物が、そのスイッチに影響を与える可能性を調べたものになります。
オレンジジュースで1700以上の遺伝子に変化が
解析の結果、1700以上の遺伝子の働き方に変化が見られたことが明らかとなりました。
特に目立った遺伝子の変化として、「体の炎症」、「血圧の調整」、「糖や脂質の代謝」に関与する遺伝子です。
オレンジジュースを飲み続けたことで、体がストレス状態にあると活発になりやすい炎症や高血圧に関係する遺伝子の働きが全体的に穏やかになっていました。
また、腎臓で塩分を体にため込む働きに関わる遺伝子の活動も弱まっており、血圧が上がりにくい方向へ体が調整されていることが示されました。
研究グループは、このような遺伝子の変化は「体がより健康となる方向」に向かっていると解釈できるとしています。
体格によっても変化が異なる
さらに興味深いのは、体重によって遺伝子の変化の状態が違った点です。
体重が多めの人では、脂質やコレステロールの代謝に関わる変化が目立ち、やせ型の人では炎症を抑える方向の変化がより強く見られました。
このように同じオレンジジュースを飲んでいても影響が異なることは、体重の違いによってどの遺伝子を変化させるのか、それぞれの体の状態によって異なる可能性があることを示しています。
なぜオレンジジュースでこんな変化が?
そこで注目されたのが、オレンジに含まれる「ヘスペリジン」という成分です。
ヘスペリジンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用や抗炎症作用があることが知られています。
研究グループは、ヘスペリジンが体内で分解された後、遺伝子の働きを調整する仕組みに関わっている可能性をコンピューターシュミレーションによって予測しています。
つまり、オレンジジュースは、体に「より健康な方向へ調整しよう」というスイッチのような役割を果たしていると考えられます。
他の研究でも、血中コレステロールや血圧の低下作用、インスリン抵抗性の改善などが報告されていますが、今回の研究は、オレンジジュースが直接遺伝子に働きかけることが明らかとなった点で大きな意義があります。

腸内細菌にも好影響
さらに、オレンジジュースは腸内環境にも良い影響を与えることが分かっています。
ブラッドオレンジジュースを1か月飲み続けた研究では、腸内で「短鎖脂肪酸」という体に良い物質を作る細菌が増えることが明らかとなっています。
短鎖脂肪酸は、炎症を抑えたり、血圧や血糖値の安定に役立つことが知られています。
腸内環境と心臓の健康は、実は密接につながっていることが明らかになってきています。
参考)
Mol Nutr Food Res. 2025 Dec;69(24):e70299.
Food Funct. 2022 Nov 28;13(23):11945-11953.
Front Microbiol. 2023 Jul 4:14:1199383.
健康を左右するのは、日々の小さな選択の積み重ねといえます。
果物は丸ごと食べるのが理想ですが、忙しい日常の中で、適量のオレンジジュースを取り入れることは、心臓の健康を支える一つの選択肢になりそうです。
さらにオレンジジュースにビタミンCを加えることを忘れずに。
オレンジ由来のポリフェノールによる体の調整作用に、抗酸化や免疫サポートといった働きが重なり、毎日の一杯はより意味のあるものになるかもしれません。
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

