便秘に関する複数のアンケート調査によると、日本人の約6割が「便秘がち」と感じています。
特に女性は男性よりも悩む割合が高く、「便秘で困ったことがある」経験者は実に8割を超えます。
便秘薬を使ったことがある人も男女ともに半数近くにのぼりますが、一方で「なんとなく薬を使うのが怖い」と感じる人も少なくありません。
そんな中、2025年10月13日に英国栄養士協会が発表した「薬に頼らない慢性便秘に関する食事ガイドライン」が注目を集めています。
このガイドラインは、過去に報告された75件の臨床試験をもとに作成されたもので、従来の「食物繊維と水分をとりましょう」という一般的な助言から一歩踏み込み、より科学的根拠に基づいた具体的な食事法を示しています。
その中には、少し意外な内容も含まれています。
キウイフルーツを1日2~3個
慢性便秘の改善には、少なくとも4週間、1日に2~3個のキウイを食べることが推奨されています。緑の果肉でも黄色の果肉でも、効果があることは科学的に実証されているとのこと。
キウイの食物繊維はリンゴよりも水分を吸収して膨張しやすく、便のかさを増やして腸内を通りやすくします。
また、キウイに含まれる酵素「アクチニジン」が肉や魚などのタンパク質を分解し、便をやわらかくする効果も。
さらに、キウイに含まれる「ラフィド」と呼ばれる結晶が腸の粘液生成を促し、便通をスムーズにする可能性も示されています。
加えて、キウイを食べることで便秘につながるメタン生成細菌が減少するという報告もあり、腸内環境の改善に役立つと考えられています。
朝食は、体にスイッチを入れて活動を始めるエネルギー源、昼食で栄養を補充し、夕食で体を休める。
こうしてリズムが整うことで、心身の健康が維持されます。特に朝食は「1日の始まりをつくる重要な食事」といえます。
食物繊維も100gあたり4.1gとサツマイモの3.8gを上回り、特にワタの部分には果肉の約5倍程度の食物繊維が含まれています。

ライ麦パンを1日6~8枚
ライ麦パンは、一般的な白いパンや下剤よりも便秘を緩和する効果があることが示されています。
ガイドラインでは、少なくとも3週間、毎日6~8枚のライ麦パンを食べることを推奨していますが、研究グループは、これは多くの人にとって現実的ではないことを認めています。
普段、白いパンを食べている方は、ライ麦パンに変更するだけでも慢性便秘の緩和が期待できるかもしれません。

酸化マグネシウムを1日0.5~1.5g
酸化マグネシウムは便秘薬のほかマグネシウムサプリなどに使用されている成分です。
腸内の水分を集めて便を柔らかくし、排便回数を増やす効果があることが確認されています。
ガイドラインでは少なくとも4週間、1日に0.5~1.5gを摂取することを推奨しています。
但し、腎臓病のお持ちの方は注意が必要です。酸化マグネシウムは他の薬と相互作用を起こすがあるため、日常的に薬を服用している場合は、医師に相談しましょう。
食物繊維が多い食事=効果的とは限らない
これまで「便秘には食物繊維」をといわれていますが、今回のガイドラインには記載されていません。
検証の結果、食物繊維は便秘に効果がないというわけではなく、慢性便秘に対する高食物繊維食の有効性を示すような強力なエビデンスがなかったとのこと。
食物繊維サプリを1日10g
ガイドラインでは、食物繊維のかわりにサイリウム(オオバコの種子殻を粉末にしたもの)などの食物繊維サプリを1日あたり少なくとも10g摂取することで、排便回数が増え、便が出やすくなるという結果を報告しています。

ミネラルウォーターを1日0.5~1.5L
マグネシウムを含む硬水のミネラルウォーターを1日0.5~1.5L、2~6週間飲むことを推奨しています。
ミネラルウォーターの飲用を他のガイドラインと組み合わせることで、マグネシウムの自然な下剤効果によって慢性便秘の改善が期待できるとのこと。
日本の水は軟水のため、ミネラルが豊富な硬度が高い商品を選択するとよいでしょう。
参考)
theconversation.com Published: October 21, 2025 4.53am BST
J Hum Nutr Diet. 2025 Oct;38(5):e70133.
便秘は冬に増える傾向があります。
その主な理由は、寒さによる体の冷えや運動不足、冬場の水分不足、寒暖差による自律神経の乱れが挙げられます。
便秘解消や予防のため、手軽にできそうなキウイフルーツとミネラル豊富な水から試してみてはいかがでしょうか?
自然の力を上手に活用しながら、腸内環境を整え、毎日すっきりとした生活を目指しましょう。
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

