インフルエンザになりやすい人の5つの特徴

お知らせ

インフルエンザが猛威を振るっています。


国立健康危機管理研究機構の発表(11月10~16日)によれば、定点あたりの報告数は14万5500人と前週から6万1300人も増えています。


現在は、「A香港型(H3N2)」と香港型の変異株「サブグレードK」が登場してきたことで感染者数が増大していることが考えられます。


そんな中、弘前大学などの研究グループが健康ビックデータ解析によって、インフルエンザにかかりやすい人の5つの特徴を報告しています。


それにあわせて、その対策についてもご紹介します。


この報告は、Scientific Reports誌2025年8月21日号に記載されています。


  インフルエンザにかかりやすい人の5つの特徴



研究グループは、岩城健康増進プロジェクトの健診データ3000項目以上から、インフルエンザに関連する165項目を抽出し、発症との因果関係や個人差について分析しました。


解析対象は1062人(平均年齢52.7±15.3歳、男性41%)で、このうち121人が過去1年間にインフルエンザにかかっていました。


解析結果から、1. 血糖値が高め、2. 肺炎になったことがある 3. 睡眠不足 4. 栄養不良 5. アレルギーあり、といった5つの特徴が明らかとなっています。









これらは単独でも感染症のリスクとなることは知られていますが、今回の研究では、複数の要因がどのように影響し合い発症につながるかが明確になった点に大きな意義があります。


特に「肺炎になったことがある」「血糖値が高め」「睡眠不足」の複数を併せ持つ場合、インフルエンザ発症リスクが約3.6倍に増加するとされています。


では、それぞれの特徴に対してどのような対策をとったらよいのでしょう?


血糖値が高めの方は?



血糖値が高い状態が免疫細胞の働きが落ちたり血流が悪くなったりするため、ウィルスや細菌に対する防御力が弱まり、風邪などの感染症にかかりやすくなります。


血糖値が高い方は、食事を野菜→タンパク質→炭水化物の順に食べ、白米よりも玄米などの食物繊維が多いものを選びましょう。


また、間食や甘いものを控え、腹八分目を意識し、1日に15~30分程度ウォーキングなどの軽い運動を習慣化しましょう。








肺炎になったことがある方は?



肺炎になったことがある人は、もともと免疫や呼吸機能が弱いことが考えられます。


室内では適切な湿度40~60%に保ち乾燥を防ぐようにしましょう。


また、ウィルスが体の中に入らないように、手洗いやうがいを行い、粘膜の乾燥を防ぐためこまめな水分補給を心掛けましょう。


鼻や喉の粘膜の健康を維持するために必要なビタミンAやβカロテンのほか、抗酸化作用や酸化ストレスを軽減するビタミンC・E、魚に含まれているDHA、EPAは炎症を抑制する作用が期待できます。








睡眠不足の方は?



睡眠不足が続くと免疫システムが乱れ風邪を引きやすくなります。


ある研究によれば、睡眠不足(6時間未満)が続くと風邪を引くリスクが4倍以上になるとの報告があります。


就寝前は軽いストレッチで体を温めて副交感神経を有意にして体をリラックスさせましょう。


睡眠の質に関係するセロトニンとメラトニンの生成を助けるトリプトファン(大豆製品、乳製品、卵、魚など)の摂取、鉄や亜鉛、マグネシウムなどの微量栄養素も摂るようにしましょう。


鼻や喉の粘膜の健康を維持するために必要なビタミンAやβカロテンのほか、抗酸化作用や酸化ストレスを軽減するビタミンC・E、魚に含まれているDHA、EPAは炎症を抑制する作用が期待できます。








栄養不足を感じている方は?



栄養バランスの乱れは、免疫機能を低下させます。


1日3食を基本とし、主食、主菜(肉・魚)、副菜(野菜・キノコ・海藻)に加え、果物と乳製品を組み合わせて摂ることを意識しましょう。


特に、野菜や果物(緑・黄・赤・紫など)を意識して選ぶと、ビタミン・ミネラル・抗酸化成分を摂りやすくなります。


また、パプリカやキャベツ、小松菜、タマネギ、ニンジン、ホウレン草などは抗酸化作用が高い野菜として知られています。


鼻や喉の粘膜の健康を維持するために必要なビタミンAやβカロテンのほか、抗酸化作用や酸化ストレスを軽減するビタミンC・E、魚に含まれているDHA・EPAは炎症を抑制する作用が期待できます。








アレルギー体質がある方は?



アレルギー体質の人は慢性的に粘膜が炎症し呼吸器のバリア機能が弱くなっていることが考えられます。


青魚に豊富なオメガ3脂肪酸(DHA、EPAなど)の摂取、ビタミンC・E、ポリフェノールを含んだ果物(キウイ・イチゴ・柿など)で抗酸化力を補いましょう。


また、ビタミンCは抗酸化作用とともにヒスタミンを分解する作用があることが知られています。









参考)

Sci Rep. 2025 Aug 21;15(1):30721.

Sleep. 2015 Sep 1;38(9):1353-9.

Public Health Nutr. 2017 Mar;20(4):687-701.







インフルエンザにかかりやすい背景には、日頃の生活習慣や体の状態が複雑に関わっています。


今回明らかになった5つの特徴は、どれも日々の心がけや栄養・睡眠の見直しで改善が期待できるものばかりです。


感染が拡大しやすい季節こそ、自分の体質や生活習慣を振り返り、できるところから少しずつ整えていきましょう。




  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。
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