最近、ちょっとした物忘れや集中力の低下が気になる…そんな人はいませんか?
そんな中、私たちの身近な食品「卵」に注目です。
タフツ大学(米国)の研究グループが、卵を週に1回以上食べる人は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが大幅に低下することを明らかにしています。
この報告は2024年7月のThe Journal of Nutrition誌に記載されています。
卵は脳の味方?
卵には、脳の健康を支える栄養素が豊富に含まれています。

こうした栄養素を含む卵が、実際にアルツハイマーのリスクを下げるのか?
それを調査したのが今回の研究になります。
1000人以上を7年間追跡
この研究は、シカゴで実施されている「Rush Memory and Aging Project」という大規模な高齢者研究の一環で行われました。
対象者は平均年齢81歳の高齢者1,024名。全員が研究開始時には認知症を発症しておらず、毎年の健康診断とともに食生活に関する詳細なアンケートにも回答しました。
その後、平均で約7年間にわたり追跡を行い、その間に280名(約27%)がアルツハイマー型認知症と診断されています。
また、参加者うち578名(約56%)は、亡くなった後に脳を提供し、アルツハイマー病特有の脳の変化も検証されています。
卵を食べる頻度と認知症リスクの関係
研究グループは、卵の摂取頻度によって参加者を以下のような4つのグループに分類しました。
● 月に1回未満
● 月に1〜3回
● 週に1回
● 週に2回以上
この4つのグループを解析した結果、卵を週に1回以上食べる人たちは、月に1回未満の人に比べて、アルツハイマー型認知症のリスクが約半分(47%)になることを明らかにしています。
また、週に2回以上食べていた人たちも同様に約半分(47%)のリスクとなっていました。
さらに、亡くなった方の脳を調べたところ、卵をよく食べていた人の脳にはアルツハイマーに特有病変(アミロイドタンパクの蓄積やタウタンパク質による神経原線維変化)も少なかったことが確認されています。

では、なぜ卵が脳に良い影響を与えるのでしょうか?
鍵は「コリン」?
研究グループが着目したのが卵に豊富に含まれる「コリン」という栄養素です。
コリンは、脳などの細胞膜の主要な構成成分として、脳神経細胞においてはアセチルコリンの原料となります。アセチルコリンは「記憶」や「情報の伝達」の役割を担う神経伝達物質です。
研究グループは、卵の摂取と認知症発症リスクと関係におけるコリンの影響について、数理モデルを用いて解析しています。
解析の結果、卵の摂取とアルツハイマーリスク低下の関係の約40%は、コリン摂取量の増加によって説明できることが明らかにされています。
つまり、卵を食べる → コリンを多く摂る → 脳の健康を保ちやすくなる、という流れが考えられます。
さらに、卵にはルテインやオメガ3脂肪酸ほか、ビタミンB群、ビタミンEなど脳に必要な栄養素をビタミンC以外全部持っている「完全脳食」ともいわれています。
これらの栄養素がコリンとともに相互に働いて、脳に良い影響を与えているのかもしれません。
但し、今回の研究だけで、「卵がアルツハイマーを防ぐ」と断言することはできません。あくまで観察研究であり、「因果関係(原因と結果)」を証明するものではないことに注意が必要です。
とはいえ、研究グループは「週に1~2回の卵摂取が、認知症予防の第一歩になる可能性がある」と結論づけています。

参考)
PsyPost.org by Eric W. Dolan July 12, 2025
J Nutr. 2024 Jul;154(7):2236-2243.
認知症は治療より予防といわれています。
私たちの脳は、年齢とともに変化していきますが、日々の食生活によって、その老化のスピードを緩やかにできるかもしれません。
朝食に、1個の卵を加えてみてはいかがでしょうか?
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。