梅雨前線の影響で本州や九州などで湿度の高い日が続いていましたが、7月17日九州南部で梅雨明けとなっています。
19日から梅雨明けを向かえるところも多くなり、猛暑がしばらく続くそうです。
そこで注意しなければならないのが熱中症です。
今回は、熱中症の要因や塩分摂取の必要性についてご紹介します。
熱中症の最大の要因は「湿度」
熱中症は暑い夏とイメージしがちですが、熱中症のリスク要因は気温が「1」、湿度が「7」、輻射熱が「2」で湿度の影響がもっとも大きくなります。
梅雨型の熱中症は多湿によって汗が蒸発しにくいため、体内に熱がこもりがちになるので熱中症と気づかないケースが多いようです。
東京消防庁が発表した、2023年6月から9月末までに熱中症で救急搬送された7,112人の救急要請時の気温と湿度を表したグラフになります。
赤い色が濃いほど救急搬送が多いことを表し、だいたい気温は25℃から35℃まで、湿度は50%から80%までの範囲で救急搬送人員が多く分布していることがわかります。
また、気温が高くなくても湿度が高いと救急搬送されていることがわかります。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなるため、熱がこもりにくいゆとりのある服装や綿や麻のほか、吸湿性や速乾性に優れた素材を選ぶのがオススメです。
また、気温だけではなく湿度も確認し室内の風通しをよくしたり、エアコンを活用しましょう。
通常の生活なら塩分補給は不要
メディアで「水分と塩分補給をしましょう」と注意喚起することがありますが、塩分補給は必要なのでしょうか?
結論からいうと、通常の生活で塩分補給を行う必要はありません。
汗の塩分濃度は、個人差や体状況にもよりますが、およそ0.4%といわれています。
もし1Lの汗をかいたとすると約4gの塩分が失われたことになりますが、このような多量の汗をかくことは、通常の生活ではほとんどないと思います。
また、通常は食事で十分以上の塩分が取れているため不足することはありません。
1日当たりの塩分推奨量は男性で7.5g、女性で6.5g未満となっていますが、一般的な日本人の塩分摂取量は10g程度と、日常的に推奨量を超えた塩分を摂っているので足りなくなることはなさそうです。
塩分摂取が必要なのはあくまでスポーツや野外活動など、暑い環境下で多量の汗をかくようなケースとなります。
では、このような環境下で活動する場合、塩分摂取のタイミングと熱中症リスクは関係するのでしょうか?
塩分摂取が適切でないと熱中症リスク増
福島県立医科大学の研究グループは男性消防士28人を対象に2021年7~9月に屋外訓練を行った際の塩分摂取のタイミングと熱中症リスクの関係について調査を行っています。
また、屋外訓練日数250日間に熱中症症状は28件発生したとのこと。
塩分摂取のタイミングを摂取無し、訓練前、訓練前と訓練前中、訓練中の4つに分類し、熱中症との関連を解析しました。
その結果、塩分摂取なしと比較して、訓練前の塩分摂取(オッズ比※:5.893)、訓練前と訓練前中(同:22.889)は、熱中症症状の発生と有意に関連していることが明らかとなりました。
また、訓練中の塩分や水分摂取などについては有意な関連は認められなかったとのこと。
※オッズ比は関連性を示す指標であり、どちらの方がリスクが高いかとはいえません。
今回の結果は、特殊な環境で働く男性消防士を対象としたものである他、各個人の作業負荷が考慮できなかったこと、参加者が少なく1つの消防署所属の参加者であったことなど限界があります。
しかし、塩分摂取が適切でないと熱中症リスクを増やしてしまう可能性があり、適切な塩分量を適切なタイミングで摂取すれば、熱中症を予防することができるかもしれません。
参考)
PLoS One. 2024 Jan 2;19(1):e0296388.
熱中症予防に必要な栄養素としては、疲労回復作用があるビタミンB1(豚肉・大豆製品など)、クエン酸(柑橘類など)、ビタミンC(果物・野菜など)をしっかり摂るのがよいでしょう。
ビタミンCピュアクリスタルは、粉末タイプで水に溶けやすいので水分補給+αで活用していただけたらと思います。
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。