老化や病気の原因ともなるといわれる「酸化」はエネルギーを作る際に発生する活性酸素が細胞を傷つけることで進むと考えられています。
この酸化を防ぐために重要なのが「抗酸化」です。
今回は抗酸化や抗酸化物質、体の酸化を防ぐ方法について紹介いたします。
活性酸素の働きは?
わたしたちは呼吸によって空気中の酸素を体に取り入れて、それをもとに生命活動を維持しています。
その際、体内に取り入れられた酸素の一部は、反応性の高い「活性酸素」となり、細胞の中で情報伝達を行ったり、免疫機能の調整を行ったりしています。
この活性酸素はその量が適切であれば、わたしたちにとって良い働きをしますが、大量に作られてしまうと細胞を傷つけ、がんや心血管疾患などの生活習慣病をもたらしたり、老化や免疫機能の低下を引き起こす原因にもなってしまいます。
抗酸化力とは?
抗酸化とは、活性酸素が体の中で増えすぎないように発生を抑えたり、取り除いたりすることを指します。この働きが「抗酸化」となります。
わたしたちの体は、もともと抗酸化防御機構と呼ばれる抗酸化力を持っていますが、その働きは年齢を重ねるごとに弱まることがわかっています。
そのため、年々体内で作られる活性酸素の発生を抑制するために働く抗酸化物質や酵素の量が減少し、活性酸素が増えやすい状態になってしまいます。
抗酸化物質の効果
抗酸化物質とは、活性酸素の発生や働きを抑制したり、活性酸素そのものを取り除いたりする物質のことです。
抗酸化物質は体内で合成される抗酸化物質や酵素の他にも、食事などを通して摂取するビタミンやカルテノイドなども抗酸化物質にあたり、抗酸化ビタミンとも呼ばれています。
代表的な抗酸化物質は以下の通りです。
●ビタミンC
ビタミンCは果物や野菜に多く含まれている水溶性ビタミンです。皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあるとともに強い抗酸化作用を発揮します。
また、体内で使われたビタミンEを元のビタミンEに再生する作用もあります。
●ビタミンE
ビタミンEは多くの食品に含まれる脂溶性ビタミンです。抗酸化作用がとても強く、体内で脂質の酸化を防ぎ過酸化脂質の生成を抑制する働きなどがあります。
●コエンザイムQ10
厳密にはビタミンといえませんが、ビタミン様物質として抗酸化作用を持っています。
●カロテノイド
強い抗酸化作用があるといわれる天然の色素で、緑黄色野菜や果物に含まれるβカロテンやリコピン、エビやカニなど甲殻類などがもつアスタキサンチンが有名です。
●ポリフェノール
ポリフェノールは植物由来の食品に含まれる苦みや色素成分です。ブルーベリーに含まれるアントシアニン、大豆に含まれるイソフラボンやサポニン、緑茶のカテキン、紅茶やウーロン茶に含まれるタンニンなど様々な種類があります。
抗酸化能力が低下すると?
体内の抗酸化力と活性酸素の産生バランスが崩れ、活性酸素が多く作られるようになった状態を「酸化ストレス状態」といいます。
活性酸素が増えすぎると、細胞を傷つけ、がんや血管の病気のリスクを高め、特に脳に酸化ストレスが蓄積すると、血糖値や食欲抑制に関わるホルモンの作用が弱くなり、肥満や糖尿病を引き起こしやすくなると指摘されています。
また、活性酸素が細胞を傷つけ死滅させてしまうと、老化を促進することもあります。
例えば、紫外線による細胞の損傷は、肌の弾力を失わせてしまい、シミやシワ、肌荒れなどを引き起こします。この要因のひとつに酸化ストレスがあります。
酸化ストレスの予防や対策は?
まずは紫外線を防ぐことは、体内の抗酸化力と活性酸素の産生とのバランスが崩れないようにすることにつながります。
過度な運動は酸化ストレスの要因のひとつとなりますが、適度な運動は酸化ストレスの予防に効果的といわれています。
また、前述のグラフで示したように抗酸化力は40歳を境に年齢を重ねるにつれて弱まっていきます。
そのため、日常的に食事から抗酸化物質を補給することが重要になってきます。もちろん抗酸化物質を食事から摂るのが一番です。
しかし、年齢とともに抗酸化力が弱くなってしまうので、積極的に食事から取り入れても体内の酸化を防ぐことが難しくなってしまうことも考えなければなりません。
そんな時はビタミンCやビタミンEをサプリメントから取り入れましょう。
とはいえ、ビタミンCは幅広い年代で不足している栄養素、食事では十分に得られていないビタミンでもあります。
老化や病気予防も含め、美容や健康を維持するためにも積極的に摂っていただければと思います。
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。