A型は几帳面、O型はおおざっぱなど血液型で性格を判断するのが大好きな日本人、実は血液型にこだわっているのは日本人だけだそうです。
血液型は一般的に使用されるABO型だけではなく、全部で300種類以上存在していることを知っていましたか?
血液型が性格に関連する明確な科学的根拠はありませんが、医学的には病気などの健康リスクと関係があるようです。
今回は血液型と病気の関係についてご紹介します。
血液型は若年性脳卒中リスクに影響を与えている!?
日本では脳卒中の発症者は年間29万人、その半分以上が亡くなったり、介護が必要な状態になっています。
特に60歳以前に起こる早期脳卒中は増加傾向にありますが、どうように発生するかなどの詳しい研究はあまり行われていなかったようです。
そこで行われたのが、2022年10月に報告されたメリーランド大学(米国)の研究です。
研究グループは、過去に行われた48の研究のうち脳卒中患者17,000人と約60万人の健常者のデータを用いて大規模な総計解析を行ったとのこと。
これらのデータには対象者の染色体や脳卒中にかかわる遺伝子情報などが含まれているので、遺伝的な背景からどんな人が早期脳卒中になりやすいのかを探ることができます。
その結果、意外にもABO血液型を決定する遺伝子を含む染色体領域と早期脳卒中との間に関連性があることが明らかになったとのこと。
A型は早期脳卒中のリスクが16%高い
早期脳卒中のリスクを血液型で比較したところ、A型は他の血液型に比べて60歳前後に起こる早期脳卒中のリスクが16%高くなることが判明しました。
一方、O型はそのリスクが12%低く、B型は、年齢問わず脳卒中を発症する確率が約11%高いという結果となっています。
なぜA型のリスクが高くなるのかは分かっていませんが、A型は静脈内に血栓が発生するリスクが他の血液型に比べてわずかに高いことが示されています。
研究グループは「血栓の形成に関与する、血小板、血管を覆う細胞、その他の循環タンパク質といった血液凝固因子が関係しているのかもしれない」と伝えています。
また、60歳以降に脳卒中を発症した人と健常者を比べたところ、晩期脳卒中と血液型との関連性は、早期脳卒中の関連性に比べてはるかに弱かったそうです。
とはいえ、「これらの結果は統計上有意ではあるものの、A型だからといって頻繁に脳検査を受けたり、生活様式を変更する必要は特にないと」付け加えています。
O型は病気リスクは低いが大怪我に注意!?
その他の研究ではどうでしょうか?
2012年にハバード大学(米国)が約9万人を約20年間追跡した調査では、心筋梗塞や狭心症の発症リスクはO型が一番低く、O型に比べて他の血液型の発症リスクはAB型が1.23倍、B型が1.11倍、A型は1.05倍高いことを明らかにしています。
2014年にフランス国立保健医学研究所が約6万人を対象に約18年間追跡した調査では、糖尿病の発症率はO型が一番低く、O型に比べて他の血液型の発症リスクはB型が1.21倍、AB型が1.17倍、A型は1.10倍高いと示されています。
また、2014年にバーモント大学(米国)が約3万人を対象に約3.5年追跡した調査では、軽度認知症を発症するリスクが特にAB型で高く、他のO・A・B型に比べて1.82倍高いことが示されています。また、この3つの血液型では目立った差はなかったとのこと。
このようにO型の人は心臓病や脳卒中のリスクが低く、認知症のリスクを高める可能性があることが示唆されています。
なぜO型の人にこのようなことが起こるのでしょうか?
その要因として、O型の人の血液は固まりにくいことが関係しているのかもしれません。
血液型をO型に決める酵素は、血液中のコレステロールを調整する遺伝子と同じ染色体上にあるため、血液が固まりにくくサラサラな状態になっているそうです。
これが血管系の病気を予防する働きに作用しているのではないかと考えられています。
一方で、血液がサラサラな状態であることは、いろいろな病気を防ぐにあたって有利かと考えられますが、事故などで重傷となった場合は不利になるかもしれません。
東京医科歯科大学病院救命救急センターの報告によれば、血液がO型の場合、他の血液型に比べて死亡率が2倍以上にもなることを重症患者約900人を対象とした調査で明らかにしています。
参考)
滋賀医科大学 2017年 6月 6日プレスリリース
University of Maryland School of Medicine. August 31, 2022 | Deborah Kotz
CBS News. AUGUST 14, 2012 / 5:56 PM
INSERM. PRESS RELEASE | 19 DEC 2014 – 10H24
The University of Vermont. September 11, 2014. By JENNIFER NACHBUR
Crit Care. 2018 May 2;22(1):100
ビタミンCは血管を構成するコラーゲンの産生に欠かせない栄養素です。
血管の健康を維持することはいろいろな病気の予防だけではなく美容にもつながるので積極的に摂っていただければと思います。
- このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
- 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。