サプリvs野菜丸ごと摂取、抗酸化力を発揮するのはどっち?

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サプリメントを摂取した場合と食品から取った場合、効果があるのはどっちと考えたことがある方も多いかもしれません。

今回は、トマトに含まれているリコピンサプリメントとトマトを食べた場合について抗酸化能力に差があるのかという研究があったのでご紹介します。

トマト丸ごとかリコピンサプリか?



トマトには、ポリフェノール、カロテノイド、アスコルビン酸、α-トコフェロール、葉酸などの抗酸化作用をもつさまざまな栄養素や成分が含まれています。

トマトは健康に良いとよく聞きますが、このメリットの多くは、赤い色のもとであるカルテノイド「リコピン」によるものです。

そのため、これらの成分の中でも特に強い抗酸化作用をもつリコピンサプリメントがたくさん販売されています。

トマトから抽出されたリコピンを習慣的に摂取していると動脈硬化に関係するコレステロール(酸化LDL)が大きく下がったりすることが示されています。

また、試験管内で行われた研究ではトマトに含まれているリコピン以外の微量栄養素もコレステロールの酸化を抑制し、その働きはリコピンを上回ることも示されています。




そこで行われたのが習慣的にトレーニングを行っている男性アスリート11人を対象とした研究です。

参加者をトマトパウダー(60g、リコピン 30mg)とリコピンサプリ(リコピン 30mg)、プラセボを摂取するグループ(群)に分けて行われました。

これらを1週間摂取してもらい、トレッドミル走行(ルームランナー)を疲労困憊するまで行ったときにどのくらい活性酸素発生を抑制できたのか検討しました。

酸化ストレスと抗酸化能の評価には、酸化ストレスのマーカーである8-イソプロスタン、脂質過酸化のマーカーであるマロンジアルデヒド(MDA)、そして総抗酸化能(TAC)を比較しています。


酸化ストレスが抑制されたのはトマトパウダー




酸化ストレスマーカである8-イソプロスタンは3群とも運動後に有意に上昇していました。トマト摂取群では安静時との間にも有意差が認められています。

また、トマト摂取群の運動後の8-イソプロスタンはプラセボ群より有意に低くなり、上昇率の比較でも有意差が認められています。





脂質過酸化マーカーのマロンジアルデヒド(MDA)も同じように3群とも運動後に有意に上昇していました。トマト摂取群では安静時との間にも有意差が認められています。

また、トマト摂取群の運動後のMDAはプラセボ群より有意に低値で、上昇率の比較でも有意差が認められています。

これに対してリコピンサプリ摂取群ではプラセボ群と有意差は認められていません。





総抗酸化能(TAC)もトマトパウダー群だけ安静時から有意に上昇、また運動後の値はプラセボ群に対して有意に高い値を示していました。




トマトに含まれている他の栄養素の相乗効果が重要




研究グループは、「トマトパウダーの摂取により抗酸化能力が向上たが、同じ含有量のリコピンサプリメントでは同じ結果にならなかった」と伝え、「トマトパウダーの方がリコピンと他の栄養素や成分との相乗・相互作用によって有益な影響がもたらされている可能性がある」と結論しています。


参考)J Int Soc Sports Nutr. 2021 Feb 27;18(1):17.



やはり偏った食事を補うためのサプリメントではあまり効果的ではないようです。

バランスよい食事をベースにサプリメントの作用が最大限発揮されるような食生活を心がけましょう。

  • このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
  • 専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。

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