冬は気温の低下で、夏は冷房でと、季節を問わず「冷え」に悩まされている方が女性を中心に大勢いらっしゃいます。
「冷え」の症状は例えば手先足先が冷たくなってしまう末端冷え症にはじまり、肩こり、頭痛、腰痛、腹痛、生理痛、不眠などいろいろなものがあります。
原因も様々ありますが、要は体温維持ができなくなることが原因です。
ご存じの通りヒトは恒温動物です。
つまり体温についての「恒常性維持のメカニズム(ホメオスタシス)」を備えた生物ということです。
「冷え」とはつまるところ、このメカニズムがうまく働いていないことが原因なのです。
体温維持の仕組み
では、ヒトはどのようにして体温を維持しているのでしょう。
このメカニズムについては、京都大学の西 英一郎特定准教授が昨年論文を発表しています。(『Nature Communications』誌への研究成果 「体温恒常性維持のメカニズムの解明」に成功)
この論文の冒頭に背景説明として3つの体温維持メカニズムが挙げられています。
それは次の3つです。
1)熱産生を司る褐色脂肪細胞での非ふるえ熱産生(交感神経系)
2)皮膚血管を収縮して熱を放散させない(交感神経系)
3)骨格筋でのふるえ熱産生(運動神経系)
西准教授の論文の目的は、ナルディライジンというタンパク質が体温恒常性維持に果たす役割を解明することですが、当コラムはちょっと違うところに着目しています。
西論文で紹介されている3つのメカニズムのうち、少なくとも2つに関わる共通の物質があるのです。それは「鉄」です。
鉄と体温維持
まず、メカニズムの2番目、皮膚血管の収縮によって放熱を止めるとありますが、血管収縮の信号はセロトニンという物質によって伝達されます。
ヒトはセロトニンを生合成できますが、鉄が十分にない環境ではこの生合成能力が低下してしまいます。
つまり、鉄が不足すると効率的な血管収縮ができずに放熱を止めることができなくなります。
次に3番目の骨格筋でのふるえ熱産生とは、つまり筋肉の運動で熱を作り出すことですから、当然ヘモグロビンが十分に酸素を筋肉に供給できることが前提になります。
鉄が不足していては健康なヘモグロビンが不足してしまい、筋肉は酸欠で熱産生に必要な運動ができなくなります。
ビタミンCは鉄の吸収を高める
さて、このコラムの題名は何だったでしょう。
そう「ビタミンC、効果は一石40鳥!」ですね。
もうお分かりでしょうが、ビタミンCには寒冷抵抗力を高める効果があります。そしてその効果は、ビタミンCの「鉄の吸収を高める」効果によってもたらされるのです。
ヘム鉄と非ヘム鉄
鉄分豊富な食品は数多くありますが、大きく分けて動物性食品に含まれる鉄はヘム鉄と呼ばれ、植物性食品由来のものは非ヘム鉄と呼ばれます。
同じ鉄ですがこの二種類は吸収の点で大きく異なっています。
ヘム鉄は最大で25%程度は吸収できるのに対して、非ヘム鉄は5%程度しか吸収できないといわれています。
ヘム鉄が豊富な動物性食品は鉄の吸収に優れてはいますが、あまり食べすぎるとカロリーオーバーの恐れがあるので好き放題に食べるという訳にはいきません。
非ヘム鉄はホウレンソウ、ひじき、大豆など健康志向に沿った食品に多く含まれていますが、吸収に難があります。
ビタミンCはこの植物性の非ヘム鉄の形を変えて、吸収を容易にしてくれます。
当然のことながら、鉄を十分に吸収できることで鉄欠乏性貧血も防げます。
一説によると、ビタミンCを大量摂取している人の血液が付いた衣服のシミは洗ってもなかなか落ちないそうです。
きっとヘモグロビンに鉄が豊富で赤血球が多い血液なのでしょう。
ハラールと非ヘム鉄サプリ
話は少し脱線しますが、いま世界的に鉄分サプリは非ヘム鉄の物が増えてきているそうです。
理由はハラールです。
イスラム教の戒律のひとつですね。
鉄分サプリには豚由来のヘム鉄を含有している物が多くあったそうですが、豚由来の食品を禁忌としているムスリム(イスラム教徒)が安心して口にできるように非ヘム鉄の物が増えてきているのだそうです。
もし、鉄をサプリで補おうとしているなら、ちょっと調べてみてください。
でも、非ヘム鉄でも大丈夫です。ブロンソンのビタミンCを大量摂取しているあなたにはヘムも非ヘムも関係ありませんから。
ではまた次回
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コメント
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